天鐘(11月11日)

日本球界の闘将といえば故・星野仙一さん。阪神シニアディレクター時代の2006年に八戸市内で講演している。情熱的な語り口。そして会場へ檄(げき)を飛ばす。「注目しておくから早く1軍に上がって来い」▼光星学院高(現・八戸学院光星高)の招きで来八.....
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 日本球界の闘将といえば故・星野仙一さん。阪神シニアディレクター時代の2006年に八戸市内で講演している。情熱的な語り口。そして会場へ檄(げき)を飛ばす。「注目しておくから早く1軍に上がって来い」▼光星学院高(現・八戸学院光星高)の招きで来八。視線の先には坂本勇人少年がいた。高校生ドラフトで巨人の1位指名を受けたばかり。プロの心構えについて教えを乞うた、宿敵の期待の星へ愛のエールだった▼翌年の北京五輪プレ大会。日本代表監督に就任した星野さんは若手を中心にチームを編成する。招集した坂本選手は高卒新人ながらも躍動。原辰徳監督に「センスがある。巨人を背負って立つ」と伝えたという▼プロ2年目、坂本選手は10代にして開幕スタメンを勝ち取った。程なく阪神との伝統の一戦を迎え、初本塁打を放つ。セ・リーグ最年少となる満塁弾。ど派手な恩返しを星野さんはどう受け止めたのだろう▼数々の逸話の一端である。多くの導きと本人のたゆまぬ努力によって、今や球界を代表する顔に。史上最高の遊撃手との呼び声も高く、2千本安打の偉業ですら通過点に思えてくる。夢の続きに期待が高まる▼コロナ禍により開幕が延期され、自身も感染。年少記録の更新が阻まれ、調整も困難な異例のシーズンで、つかみ取った勲章に価値を見る。積み重ねる一打は新たな歴史を創り、野球少年の未来も育む。