マイワシ豊漁も脂乗らず/太平洋側 餌不足で異変か

トラックに水揚げされるマイワシ=9月、北海道・釧路港
トラックに水揚げされるマイワシ=9月、北海道・釧路港
北海道の太平洋沿岸で近年は豊漁が続き、不漁のサンマに代わる魚種として注目を集めるマイワシに異変が起きている。今年は脂の乗った魚体が減少し、専門家は個体数の増加で餌が足りず成長が遅れている可能性があると指摘。水産業者からは「食用としては使いづ.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
北海道の太平洋沿岸で近年は豊漁が続き、不漁のサンマに代わる魚種として注目を集めるマイワシに異変が起きている。今年は脂の乗った魚体が減少し、専門家は個体数の増加で餌が足りず成長が遅れている可能性があると指摘。水産業者からは「食用としては使いづらい」と悲鳴が上がる。[br][br] 10月上旬の釧路港。全国から集まった大型漁船が周辺漁場で取れたマイワシを次々と水揚げし、トラックが忙しそうに岸壁を行き交っていた。[br][br] 水産庁によると、1980年代には全国で400万トンを超えていた水揚げ量は90年代に一気に減少したが、2010年代に増加傾向に転じた。昨年は約53万トンに上り、10年前の約10倍にまで回復。夏から秋に主漁場となる北海道沖では今年も好調で、道まき網漁業協会(釧路市)によると、10月末までに24万トン超の水揚げがあった。[br][br] だがほとんどが50グラム台やそれ以下で、例年の80グラム台と比べて小ぶり。横浜市の水産研究・教育機構の西田宏にしだひろし浮魚資源部長によると、魚群の密度が高くて1匹当たりの餌の取り分が減っている可能性があるという。海水温の上昇で餌のプランクトンが減少していることなどが考えられるが、はっきりした原因は分かっていない。[br][br] マイワシは冬に南下し、関東などで水揚げが始まる。資源量が特に多い2歳魚を中心に「成長が遅い状態は今後も続くだろう」と予測している。[br][br] 北海道沖のマイワシを刺し身用などで全国に出荷する青森市の鮮魚卸「さ印じるしさんりく」の阿部久会長(70)は「例年になくやせている魚が多い」と険しい表情。10月中旬から少しずつ脂の乗った魚が確保できるようになったが、来年以降の漁模様に不安を募らせる。北海道広尾町で切り身などを製造する業者も「去年あたりから一気に小さくなった。使える原料が少なすぎる」と嘆く。[br][br] 宮城県気仙沼市でかば焼きなどのレトルト食品を作る加工会社の担当者は「加工に使えるぎりぎりのラインのものを選んでいる」と話す。一方で「脂の乗りが良いことに越したことはないが、小ぶりの方が骨を気にせず一口で食べきれる。加工の主力となるサンマが不漁の中、今ある原料を有効に使いたい」と前向きに語った。トラックに水揚げされるマイワシ=9月、北海道・釧路港