八戸市を主会場とする「冬季スケート国体」が2020年に続き、26年に開催されることが内定した。一方、現在、23年の開催案も浮上しており、決定すればわずか7年間で3回という異例の開催形態となる。[br] これだけ頻繁に八戸に声が掛かるのは、他都市が手を挙げなくなってきたという背景がある。全国でスケート国体を開催できるのは、施設のある11都市。本来は輪番制だが近年、各自治体の財政事情や施設の老朽化から難色を示す都市もある。[br] それでも八戸が何度も引き受けてきたのは一定の経済効果が見込めるからだ。調査会社などの試算によると、大会1回の経済効果は2・5億~5億円。数千万円の地元負担を差し引いても十分メリットがあるという。[br] ただ、経済効果にばかり目を奪われ、本来の開催意義を忘れてはいないだろうか。国内のトップアスリートが集う冬の祭典を市民が心から楽しみ、関心を高め、開催地・八戸を全国にアピールする場であるべきだ。[br] 一方で、スケートの競技人口は長期的には減少傾向にあるほか、地元選手の競技力向上につながっていないという指摘もある。国体が頻繁に開催されている北海道や長野県は、多くの五輪メダリストを輩出しているが、八戸では近年、世界の舞台で活躍するような選手は育っていない。市民の関心の高まりもいまひとつで、開催効果を十分生かしているとは言い難い。[br] 大会を運営する各競技団体の負担も相当なものだ。交通費など実費を差し引けば、ほぼボランティアという人もいる。それでも毎回、笑顔で選手団を出迎えるのは、脈々と受け継がれてきた氷都・八戸の誇りとスケート競技を盛り上げたいという思いに違いない。[br] 昨年、YSアリーナ八戸がオープンした。全国に3カ所しかない屋内リンクで、今後ますます国体の打診が増えることが予想される。そこで、今こそ開催意義を考えてほしい。[br] まず、大会中にもっと市民が会場に足を運ぶ仕組みづくりが必要だ。例えば期間中に市独自の休日を設け、家族ぐるみで見学を促してもいい。スピードだけでなくアイスホッケーやフィギュアなど他競技を巡るツアー企画なども効果的ではないか。[br] 八戸国体は1947年の第1回大会を皮切りに、これまで計13回と全国最多の開催実績を誇る。だからこそ国体の理想像を追求する使命がある。行政、競技団体、市民が一体となって開催効果を最大限に引き出す方策を模索してほしい。