農水省がコロナ対策補助金の要件見直し/北奥羽地方に波紋広がる

農林水産省が新型コロナウイルス対策として農家を支援する「高収益作物次期作支援交付金」について、今月12日に交付要件を変更したことで、北奥羽地方の農家や、窓口となる自治体に波紋が広がっている。当初は春先に出荷実績があれば交付対象だったが、変更.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 農林水産省が新型コロナウイルス対策として農家を支援する「高収益作物次期作支援交付金」について、今月12日に交付要件を変更したことで、北奥羽地方の農家や、窓口となる自治体に波紋が広がっている。当初は春先に出荷実績があれば交付対象だったが、変更後は新型コロナによる減収確認などが必要になり、農家によっては交付金が減ったり、交付対象から外れたりする可能性がある。青森県内では畑作が盛んな上十三地域を中心に多くの農家が申請を予定しており、関係者からは国の責任を問う声が上がっている。[br][br] 本紙が関係自治体などに取材した結果、東北町で約440件(約10億円)、三沢市で223件(約6億1千万円)、十和田市で426件(約6億500万円)など多くの応募があった。リンゴ農家の多い弘前市では3347件(約30億円)に上るという。岩手県北地方では今後、申請に動く予定だったという。[br][br] 元々は今年4月に交付要件が示されていたが、同省は今月に入って、既に応募した人も含めて新型コロナによる減収確認が必要―などと運用の見直しを通知。交付対象面積を2~4月に減収した品目に限定し、(1)面積に支援単価を乗じた額(2)前年より売り上げが減った品目の減収額の合計(3)当初に算出した額―のうち、最も低い額を交付申請額として適用するとした。[br][br] 理由について、同省は自治体への説明資料で「必ずしもコロナの影響を受けたとは言い難い申請も含まれており、このまま交付金を支払えば(国民の)批判を受けかねない」などとしている。[br][br] これに対し、ある自治体の担当者は「当初から心配はあったはずだ。それでも国は『大丈夫だ』と言い張ってきた」と指摘。別の担当者も要件が甘過ぎるとして、何度も国に確認したというが、「国は絶対に支払うと言っていたので、農家に呼び掛けたのに…」と憤りを隠せない。見直しの通知があって以降、農家からの問い合わせが相次いでいるという。[br][br] 交付金の額が見通せないのも現場の混乱に拍車を掛ける。減収した面積に絞られたことで、当初よりも減額されるのは必至。さらに、減収の比較対象となる昨年は野菜の多くが供給過剰で全国的に安値となっていたため、価格が平年並みに戻った今年と比べた場合、対象とならない農家も多く出る見込み。[br][br] 交付金申請に直接携わっていない青森県も影響を問題視。坂田裕治農林水産部長は22日、同省東北農政局青森県拠点に対し、▽要件変更に関する農業関係者への丁寧な説明▽同交付金の募集期間の延長▽同交付金に代わる新たな支援の検討―などを要請した。[br][br] 青森県拠点の担当者は取材に「農家の皆さんには迷惑を掛けている」とした上で、今後、各自治体関係者に詳しく説明する機会を設ける方針だという。[br]