イノシシ“空白地帯”一変 田子で農業被害じわり 

イノシシに荒らされた田んぼ。ふんや臭いで売り物にならないという=2日、田子町相米
イノシシに荒らされた田んぼ。ふんや臭いで売り物にならないという=2日、田子町相米
岩手、秋田両県と県境を接する田子町で、農作物へのイノシシ被害がじわりと拡大している。田んぼで稲を踏み荒らしたり、イモを掘り返して食べたりする被害が確認されており、生産者を悩ませている。青森県は長年、イノシシが生息していない“空白地帯”とされ.....
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岩手、秋田両県と県境を接する田子町で、農作物へのイノシシ被害がじわりと拡大している。田んぼで稲を踏み荒らしたり、イモを掘り返して食べたりする被害が確認されており、生産者を悩ませている。青森県は長年、イノシシが生息していない“空白地帯”とされていたが、近年は親子連れの姿も確認されており、地元猟友会は「南の方から移動して来て、間違いなく増えている。繁殖力が強く、数年後は大きな問題になりかねない」と警鐘を鳴らす。[br][br] 「この足跡、まだ新しいな。成獣と子どものが混じってる」[br][br] 2日、同町相米の山あいにある田んぼで、地元猟友会会員で町鳥獣被害対策隊を務める堀合輝彦さんは険しい表情を浮かべた。田んぼの一角では実った稲穂が無残になぎ倒され、イノシシが泥を浴びた「ぬた場」もあった。[br][br] 同町では昨年初めて、水稲やナガイモの食害を確認し、3頭を捕獲。今年もジャガイモなどで食害が発生し、水稲は前年の倍となる約50アールで被害があった。イノシシはコメを食べるだけでなく、田んぼに入って体をこすり付けたり、ふんをしたりするため、残った稲も獣臭くて売り物にならないという。わなを仕掛けたが捕獲には至らなかった。[br][br] 堀合さんによると、町内では3、4年ほど前から親子連れの姿を見掛けたり、木に体をこすりつけた跡が見られたりするようになった。足跡がカモシカと似ているため、「被害にあっても気付いていない人もいる」という。[br][br] 現在、確認されている個体は10頭以上。雑食性で繁殖力が強く、ひとたび定着すれば爆発的に分布が広がる恐れがある。嗅覚に優れ、簡単にはわなに掛からないといい、堀合さんは「気付いた時には取り返しの付かない状況になりかねない」と危機感をあらわにする。[br][br] さらに近年、国内各地で豚やイノシシの伝染病「豚熱」が断続的に確認されている。発生すれば養豚業界は深刻なダメージを受けるため、県畜産課は、死んだ野生イノシシが発見された場合の検査体制を確認し、各農場に衛生管理の徹底を呼び掛けている。同課は「県内でイノシシの目撃情報があることは把握しており、楽観視できない」と、警戒感を強めている。イノシシに荒らされた田んぼ。ふんや臭いで売り物にならないという=2日、田子町相米