高校再編の方向を決める、青森県立高校教育改革推進計画第2期実施計画(2023~27年度)の策定へ向けた議論が本格化している。県教委は、次の5年間で19学級の減少を見込み、削減の対象校など具体的な計画を21年秋にもまとめる方針だ。[br][br] 先行した第1期実施計画(18~22年度)を振り返ると、現行の高校再編には二つの大きな変化があったように思う。一つが学級規模の標準を「4学級以上」とする規定。大学進学率の高まりなどを受け、幅広い教科を指導するために一定数の教員配置が必要なことなどが理由だ。[br][br] 小規模校は学校維持のために生徒を増やすことが求められ、市部に比べて人口の少ない郡部ほど影響が大きかった決定だといえる。[br][br] もう一つは、地理的な要因で通学が困難な生徒が通う学校を「地域校」として存続させたことだ。ただ、条件付きで、入学者数が定員の半数を2年連続で満たせなければ、募集停止へ向けた議論を開始するとされた。[br][br] 第1期実施計画の期間中には、田子など地域校3校が基準をクリアできず、20年度の募集停止が決まった。このことは、過疎地域で一定の役割を果たしてきた学校でも、特例がいつまでも認められず、閉校する時代に突入したことを意味する。[br][br] 小規模校のメリットは否定しない。だが、指導体制などを踏まえれば、一定の規模が必要という考えも理解できる。郡部では、子どもたちが市部の大きな学校へ進学する「地元離れ」が起きており、県教委の一連の改革は地域の実情も映し出す。[br][br] 次の5年間の行方を決める第2期実施計画では、新たな動きとして生徒の全国募集を解禁することが検討されている。人口減少が著しい郡部では特に、地域外から生徒の受け入れを望む声は根強かった。[br][br] いち早く捉えるのが七戸町だ。生徒の全国募集に取り組む県外の高校の事例を参考に、公営塾を作り、地元の高校と連携して教育体制を充実させ、呼び水とすることを検討する。これまでより踏み込んだ自治体の取り組みとなるか注目される。[br][br] 郡部では、地元で唯一の高校を守ろうとする運動も起こり始めている。南部町や三戸町が首長をトップとする団体を立ち上げ、存続の声を上げる。その半面、県では高校再編が県教委に任され、三村申吾知事の思いが語られないのは残念だ。高校再編は地域づくりの問題でもある。教育の側面からだけの議論にしないためにも、住民がもっと関心を持つことが重要だ。