天鐘(9月26日)

スタジアムに歓声が戻りつつある。イベントの人数制限が緩和され、プロ野球は観衆が2万人に迫ることも。静かな球場に響く乾いた打球音は新鮮だったが、気持ちの高ぶりは生のプレーとの一体感があってこそ▼1年前の歓天喜地が忘れられない。国と己のプライド.....
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 スタジアムに歓声が戻りつつある。イベントの人数制限が緩和され、プロ野球は観衆が2万人に迫ることも。静かな球場に響く乾いた打球音は新鮮だったが、気持ちの高ぶりは生のプレーとの一体感があってこそ▼1年前の歓天喜地が忘れられない。国と己のプライドを懸けて肉体をぶつけ合う男たち。にわかファンも巻き込んだ熱狂だった。日本が史上初の8強進出を果たしたラグビーワールドカップ(W杯)である▼令和の幕開けを押しのけて、日本代表のスローガン「ワンチーム」は流行語大賞に。世界に排他的な風潮が広がる昨今にあって存在感が際立った。お偉方の乱用にはいくぶん辟易(へきえき)したが、ラグビー文化は一気に広まる▼実力、人気とも低迷が続いていた。大金星を挙げた前回W杯ですら一過性。今度こそ。選手の個性も注目を集め、直後の国内リーグの来場者は前年比1・5倍。高まるラグビー熱に水を差したのはやはりコロナだった▼8強入りで名を上げた日本代表。強い関心を示さなかった強豪国から対戦の申し入れが相次ぐも軒並み中止に。そもそもが「密」でボールを奪い合う競技。あの日から1年たつものの代表戦は皆無だ▼W杯の奇跡は努力の積み重ねによる必然だった。コロナも同様に終息へ向かいつつあると信じたい。年明け後の国内リーグには世界トップクラスの選手が参戦を予定する。ぜひ大声援で迎えたい。