「ブラジルの生徒を元気に」嶋脇さん、八戸の魅力題材にオンライン授業

ブラジルとオンラインで授業を行う嶋脇雄一郎さん。生徒の求めに応じ、パソコンのカメラで海産物を紹介した=6日、八戸市の館鼻岸壁朝市で  
ブラジルとオンラインで授業を行う嶋脇雄一郎さん。生徒の求めに応じ、パソコンのカメラで海産物を紹介した=6日、八戸市の館鼻岸壁朝市で  
八戸とブラジルの架け橋に―。国際協力機構(JICA)ボランティアで、八戸市白銀に住む嶋脇雄一郎さん(32)が、3月まで活動していたブラジル・サンパウロ市の日本語学校の生徒に対し、八戸の魅力を題材にしたオンライン授業を展開している。新型コロナ.....
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 八戸とブラジルの架け橋に―。国際協力機構(JICA)ボランティアで、八戸市白銀に住む嶋脇雄一郎さん(32)が、3月まで活動していたブラジル・サンパウロ市の日本語学校の生徒に対し、八戸の魅力を題材にしたオンライン授業を展開している。新型コロナウイルス感染拡大により、日本政府の命令で帰国。それでも「八戸を知ってもらいつつ、苦労するブラジルの人たちを元気づけたい」と、コロナ禍の今できる活動を模索している。[br] 今月6日、館鼻岸壁朝市に、ノートパソコンを手に歩く嶋脇さんの姿があった。内蔵されたカメラを使って、販売されている魚介類などを撮影し、地球の裏側へ日本最大級の朝市を生中継。パソコンの画面には、視聴する主に大学生以上の生徒40人の表情がずらりと並んでいた。[br] 「すごい!」「にぎやか!」。スピーカーからは感嘆の声が聞こえてきた。嶋脇さんは朝市の様子を見せた後、生徒らと日本語で感想を語り合った。中には、新型コロナウイルス対策などの鋭い質問も飛んだ。[br] 嶋脇さんは2017年、JICAボランティアに合格。18年に当時勤めていた茨城県の化学メーカーを退職し、囲碁の普及活動を目的に19年7月にブラジルへ渡った。しかし今年3月、新型コロナの世界的な広がりを受けて帰国。「日本にいても何かできないか」と考えていた6月、サンパウロ市の日伯文化連盟(アリアンサ)が運営する日本語学校から、オンライン授業の打診があった。[br] 早速準備を進め、同月実施した初回の舞台に蕪嶋神社を選んだ。日本独自の神社文化を学びながらの授業は生徒からも好評で、ブラジル側で協力した同校講師の鍵山和香さんは取材に「生徒の楽しそうな表情が印象的だった」と振り返る。[br] 一方で鍵山さんは「精神面でも効果があった」と指摘。感染者数が世界で3番目に多いブラジルでは、外出制限などで日本より厳しい措置が取られている。「コミュニケーションの機会そのものを失っていた。嶋脇さんの授業で『頑張ろう』と元気づけられた人も多かったはず。今後も続けてほしい」と期待を込めた。[br] 「(ブラジルの公用語の)ポルトガル語はほとんど話せない。でもパソコンとインターネットがあれば貢献できることがある」と嶋脇さん。次回は「学校」をテーマにした授業の準備を進めているという。[br] ボランティアの任期は来年7月までだが、「新型コロナ終息後は、またブラジルで囲碁の仕事をしたい」と思いは尽きない。八戸と地球の裏側をつなぐ取り組みは、始まったばかりだ。ブラジルとオンラインで授業を行う嶋脇雄一郎さん。生徒の求めに応じ、パソコンのカメラで海産物を紹介した=6日、八戸市の館鼻岸壁朝市で