大豆風味強く、高タンパク「南部の堅豆腐」広めたい 北奥羽の個人経営店が連携

「堅い豆腐の認知度を上げたい」と意気込む舘明さん=洋野町有家 
「堅い豆腐の認知度を上げたい」と意気込む舘明さん=洋野町有家 
北奥羽地方に古くから伝わる「堅い豆腐」を残そうと、同地方の豆腐店や百貨店などが「南部の堅豆腐プロジェクト」を展開している。高齢化や後継者不足で店を畳む“まちの豆腐屋さん”もある中、統一ロゴを作成したり、豆腐を使ったオリジナル総菜を考案したり.....
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 北奥羽地方に古くから伝わる「堅い豆腐」を残そうと、同地方の豆腐店や百貨店などが「南部の堅豆腐プロジェクト」を展開している。高齢化や後継者不足で店を畳む“まちの豆腐屋さん”もある中、統一ロゴを作成したり、豆腐を使ったオリジナル総菜を考案したりして、若者を中心に堅い豆腐の認知度向上を目指すのが狙い。大手メーカーの製品に比べ、大豆の風味が強く、高タンパクという点を広くPRし、販路拡大と食文化の継承を目指す。[br] プロジェクトは、八戸市の三春屋が食品売り場リニューアルの目玉として地域の食材に着目したのがきっかけ。同店副店長の桜庭伸浩さん(63)が、かつて八戸大(現八戸学院大)在籍時に八戸前沖サバのブランド化に尽力した宮城学院女子大(仙台市)の石原慎士教授(50)=地域ブランド学=に相談したところ、旧八戸藩の時代から食されてきた堅い豆腐にスポットを当てることが決まり、桜庭さんをリーダーとした企画が始まった。[br] 堅い豆腐は、一般に流通する木綿や絹ごしに比べて大豆の使用量が多く、固める時間が長い。大豆の量を倍近く使用しているため、豆の風味が感じられ、植物性タンパク質が豊富に含まれる。スーパーで販売している豆腐が1丁350~400グラムなのに対し、重さは約1キロとずっしり。にがりの配合や余分な水分が抜けることで独特の弾力と歯ごたえが生まれ、思わず「かだい」という食感が特徴だ。[br] かつては正月などの晴れの日に煮しめや田楽などにして食べられていたといい、冷ややっこよりは煮物や豆腐ステーキのような焼き物にして食べるのがお勧めだという。[br] 一方、大量生産できる大手メーカーの台頭や柔らかい豆腐を求めるニーズの変化もあって、堅い豆腐の需要は減少。後継者不足や安くて柔らかい豆腐に押され、個人経営の豆腐店は年々減っているのが現状で青森県南、岩手県北両地方では数軒が残るのみだ。[br] プロジェクトでは「南部の堅豆腐」と銘打った統一ロゴを作成し、豆腐店同士が連携して共同でブランド化を推進。消費者に気軽に試してもらえるよう堅い豆腐を練り込んださつま揚げを開発し、三春屋や八戸市内のスーパーなどで試験販売を始めた。[br] 今後はスイーツや生地の部分に豆腐を使ったピザやクレープ、総菜などを順次開発する予定。植物性タンパク質を多く含むことから「健康食」という点を前面に打ち出し、堅い豆腐そのものも同市内の小売店で取り扱ってもらえるよう活動を強化する構えだ。[br] 洋野町の「舘豆富店」社長の舘明さん(50)はいち早くプロジェクト参画した一人。試験販売用に開発したさつま揚げには同店の豆腐が使われている。舘さんは「大手の豆腐には(安さや柔らかさといった)大手の良さがあるし、個人経営の店の豆腐には手作りの良さがある。小さい店が連携して堅い豆腐の認知度を上げていきたい」と強調。[br] 桜庭さんは「年配の方には懐かしく、若い人は新鮮に感じると思う。大量生産はできないが、地域の食文化を残す意義は大きく、地域に根差す百貨店の使命としてやり遂げたい」と力を込める。「堅い豆腐の認知度を上げたい」と意気込む舘明さん=洋野町有家