時評(9月18日)

危機管理で大切なのはリーダーシップだ。新型コロナウイルス対策は誰が見ても差し迫った最優先課題といえる。菅義偉首相は安倍政権からコロナ対策の布陣をほぼ継承したが、その場しのぎでない有効な「次の一手」はあるのかが問われる。 国家の危機に際して政.....
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 危機管理で大切なのはリーダーシップだ。新型コロナウイルス対策は誰が見ても差し迫った最優先課題といえる。菅義偉首相は安倍政権からコロナ対策の布陣をほぼ継承したが、その場しのぎでない有効な「次の一手」はあるのかが問われる。[br] 国家の危機に際して政治指導者は支持される傾向が強い。実際、新型コロナの世界的大流行で大半の首脳の支持率は上がったが、日本などは下がった。感染症対策で信頼を得るには科学的根拠に基づく感染抑制・医療体制、経済や暮らしの立て直し、丁寧な説明、人権尊重・差別や偏見の排除が柱となる。[br] 新型コロナと出合って9カ月が経過、特徴は徐々に分かってきた。春の第1波、夏の第2波を経て今も日々の新規感染者は500人前後に上る。集団感染も相次ぎ、感染リスクは続く。流行のくすぶりは都市部で続くとみられるが、この状況なら医療は持ちこたえられるだろう。[br] 当初の病原体ウイルス封じ込めから、ウイルスと共存して被害を減らしていく段階に入った。日本は欧米より流行規模が小さい。死者は高齢者に多く、約1500人になる。重大な健康被害だが、治療が改善されて致死率は下がり、ある程度制御できるようになった。[br] 流行は今後も繰り返されるに違いない。今秋にも起きる第3波をいち早く察知し、感染爆発を阻むことが重要だ。検査を増やし、陽性率を5%以下にするのが望ましい。第2波のピーク時に6~10%だった陽性率は3~4%まで落ちている。感染者数の増減だけでなく、検査数や陽性率にも目配りしたい。[br] 秋から季節性インフルエンザとの同時流行が懸念される。インフルエンザとコロナ感染症は症状で区別できず、医療現場での迅速検査が必要だ。コロナ対策でこれまで開業医は「蚊帳の外」に置かれていたが、インフルエンザの増える秋からは関わらざるを得ない。[br] これからはかかりつけ医の役割が増える。各市町村や保健所は開業医にも医療用マスクなどの防護具や検査キットを配り、医師会と協力して相談、受診、患者振り分けの準備を進め、発熱患者を診る病院や診療所を地域ごとに公開してほしい。[br] 新型コロナの実態はうっすらと見えてきた。無症状や軽症者も入院させる感染症法の「2類相当」の規制を緩める運用を明確にして備えるべきだ。新政権発足はいわばコロナ対策の折り返し点に当たる。全体をきちんと見て危機を乗り越えるよう、菅首相に望みたい。