立憲民主党の枝野幸男代表が国民民主党などとの合流新党代表選で、結集した国会議員149人のうち107票を獲得し大勝した。併せて新党名を「立憲民主党」と決定。15日に結党大会を開くが、野党第1党として、14日の自民党総裁選で決まる安倍晋三首相の後継者とどう対峙たいじしていくのか早速問われる。[br] 代表選は立民の創始者である枝野氏と国民の泉健太政調会長の一騎打ちだった。立民が政権追及に軸足を置いてきたのに対し、泉氏は「政策提案型」を訴えた。立民の中堅・若手議員も枝野氏の党運営が「閉鎖的」として、独自候補擁立を模索しただけに、枝野氏による党内掌握の手法が今後の注目点の一つだ。[br] 消費税も争点になった。泉氏は新型コロナウイルス感染症が収束するまで税率0%を提唱。枝野氏は一時的に税率0%にするよう与党側に求める意向を示して同調、所得税を含めた税体系の見直しも主張した。[br] 消費税は旧民主党政権時代に増税を巡り党分裂に至った“因縁”の政策課題だ。枝野氏が合流に向け協力を要請した国民の小沢一郎衆院議員は、一方の当事者だった。このため、消費税への当面の対応や将来の在り方について、方向性を確認しておくべきだろう。[br] 新党には、国民から玉木雄一郎代表を含め3分の1に当たる22人が政策の不一致を理由に参加しなかった。玉木氏ら14人は新「国民民主党」を結成する。合流新党を支援する連合の組織内議員9人も新党の「原発ゼロ方針」に反発、無所属を選択した人もいる。[br] 枝野氏は選挙戦で「離合集散の歴史に終止符を打ち、政権の選択肢となって政治に緊張感を取り戻す」と強調した。確かに新党の勢力は衆院で106人に達し、旧民主党が政権交代を実現した2009年衆院選前の115人に迫る数だ。しかし、8月下旬の共同通信社世論調査では、合流新党に「期待しない」が67・5%に上った。[br] 不祥事が相次いだものの、安倍政権が7年9カ月近く続いたのは、国民が信頼できる野党の不在が大きな要因だ。今度の合流も「決められない政治」に象徴された旧民主党への“回帰”と受け止められかねず、信頼回復が最優先だろう。[br] 早期の衆院解散・総選挙も取り沙汰される。枝野氏は「最短で10月25日投開票」と警戒を呼び掛けてきたが、準備が進んでいるとは言い難い。新党への期待を高めるためには党内の結束力確保に加え、他の野党との選挙協力構築を急ぐ必要がある。