【中間貯蔵施設】審査合格 むつ立地の前提条件揺らぐ

新規制基準の審査に事実上合格した使用済み核燃料中間貯蔵施設(リサイクル燃料貯蔵提供)
新規制基準の審査に事実上合格した使用済み核燃料中間貯蔵施設(リサイクル燃料貯蔵提供)
使用済み核燃料中間貯蔵施設(むつ市)は、六ケ所村の再処理工場で処理しきれない分を長期間保管することを目的に作られた。しかし、再処理工場はいまだ動かず、保管後の搬出先と想定された、六ケ所とは別の再処理工場(第2再処理工場)も実現の見通しが立っ.....
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 使用済み核燃料中間貯蔵施設(むつ市)は、六ケ所村の再処理工場で処理しきれない分を長期間保管することを目的に作られた。しかし、再処理工場はいまだ動かず、保管後の搬出先と想定された、六ケ所とは別の再処理工場(第2再処理工場)も実現の見通しが立っていない。むつ立地の前提条件は揺らぎ、行く先の定まらない燃料を抱えたまま、施設はなし崩し的に操業を迎える可能性がある。[br] 「国内の原発における使用済み燃料の発生量やこれまでの貯蔵量、再処理工場の処理能力等を考慮すると、使用済み燃料を再処理するまでの間、安全に貯蔵する施設が必要」[br] 2004年2月、東京電力は青森県に提示した中間貯蔵施設の概要の中で、こう説明している。六ケ所の再処理工場の処理能力を超える使用済み燃料の発生を想定していたためだ。[br] だが、原発事故で原子力を取り巻く環境が激変。事故以前、54基が稼働していた原発は事故後、9基しか再稼働に至っていない。むつの中間貯蔵施設を利用する東電と日本原子力発電に至ってはゼロで、使用済み燃料の発生が抑えられている。[br] むつの施設と同様に、金属容器(キャスク)で保管する乾式貯蔵の計画も進み、保管がおぼつかなくなると見込んだ立地計画当初とは、原子力を取り巻く環境が大きく異なる。[br] むつで保管した後の燃料利用の議論も宙に浮いたままだ。第2再処理工場が一角を担うはずの高速増殖炉サイクルは原型炉「もんじゅ」の廃炉で事実上頓挫。国のエネルギー基本計画に盛り込まれていた第2再処理工場に関する記述は、2014年の第4次改定以降なくなっている。[br] 核燃料サイクル政策の先行きが不透明な状況で、使用済み燃料は、国の方針一つで「核のゴミ」にもなり得る。それを半世紀にわたって保管する負担を住民に求めるのであれば、国と事業者のリサイクル燃料貯蔵、燃料を保有する東電と原電は安全な管理はもちろん、保管後の具体的な利用計画を早急かつ明確に打ち出すべきだ。新規制基準の審査に事実上合格した使用済み核燃料中間貯蔵施設(リサイクル燃料貯蔵提供)