天鐘(8月31日)

池田勇人元首相の秘書官だった伊藤昌哉さんは、記者懇談会の席に出された饅頭(まんじゅう)に黴(かび)が生えているのに気付き、突差に口に放り込んだ。そして「硬いから別のを」とさっと片付けさせた▼自分の体を張った「秘書の鑑(かがみ)」のエピソード.....
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池田勇人元首相の秘書官だった伊藤昌哉さんは、記者懇談会の席に出された饅頭(まんじゅう)に黴(かび)が生えているのに気付き、突差に口に放り込んだ。そして「硬いから別のを」とさっと片付けさせた▼自分の体を張った「秘書の鑑(かがみ)」のエピソードだ。尾籠(びろう)だが、中川一郎元科技庁長官の秘書だった鈴木宗男参院議員は「議員の“排泄(はいせつ)物”を手の平に乗せ、握りつぶすぐらいでないと秘書は務まらない」と語る▼筆者も彼らの献身ぶりを間近で見てきたが、伊達だてや酔狂じゃ務まらない。その議員秘書を11年間も務め、今や首相の女房役である菅義偉官房長官が自民党総裁選への出馬の意向を、二階俊博幹事長に伝えたという▼二階氏は派閥で支援する方針。ポスト安倍は「空白回避」のため、党員党友の投票を省き、両院議員総会で決める方向だ。出馬の意思を固めた岸田文雄政調会長、様子見の石破茂元幹事長の去就も注目される▼二階氏と菅氏の接近は秘書が原点で、辛酸をなめてきた者同士が意気投合したのだろう。安倍首相も父晋太郎元外相の秘書をしていたが、“雑巾掛け”から始めた2人とは境遇が違うと共感し合ったのではないか▼主人のために身を投げ出す覚悟も立派だが、主(あるじ)の驕(おご)りや高ぶりを諫(いさ)めて功罪を検証、「国民の目線」に改めることが肝要だ。名乗りを上げる候補には党内のみならず国民への丁寧な、否、明瞭で明確な説明が求められる。