国内で感染拡大が続く新型コロナウイルスは、世の中のさまざまな価値観に変化をもたらした。中央と地方の関係にも一石を投じ、感染リスクの低い地方の価値が見直されている。地方に熱視線が注がれている現状を好機と捉え、さまざまな施策を展開していくべきだ。[br] 人口減少が進む地方として力を入れたいのは、都市部からの移住促進だろう。都市部は人や物が集中している一方、今回のような感染症が発生すれば、あっと言う間にまん延してしまうぜい弱さを露呈した。[br] 地方は人や住宅が密集していないという住環境をはじめ、マイカー通勤の多さや、不特定多数の人が集まる施設が少ないことなど、自然と感染リスクが抑えられる環境となっている。[br] こうした中、地方移住に関心を寄せる人が増えており、三八地域で構成する八戸圏域でも積極的に取り込みを図ってはどうか。八戸は水産都市、産業都市として、多様なものづくり産業が集積しており、移住に欠かせない職場の確保という点で他の地域に引けをとらない。うまくアピールしていけば、地域間競争を勝ち抜く力はあるはずだ。[br] 9月10日に東京・有楽町にオープンする、八戸都市圏交流プラザ「エイトベース」にも期待がかかる。特産品販売だけでなく、移住の相談窓口や圏域の魅力を紹介するファンミーティングの会場としても活用する方針で、移住促進に向けた新たな交流拠点として活用してほしい。[br] コロナ禍の中での新たな働き方にも注目したい。感染予防策として、人と人との接触をできるだけ避けるため、テレワークを導入する企業が増えている。主にテレビ会議システムなどが使われているが、はんこを必要としない決済や認証方法など、今後、テレワークをサポートするシステムの需要が高まるはずだ。[br] 八戸市の中心街には、IT関連企業などテレマーケティング産業が集中している。現在は、インターネットによるマーケティングリサーチが中心の企業が多いが、今後はテレワークをサポートするようなサービスを提供する企業も増えてくる可能性がある。IT関連の企業が集積している強みを生かし、行政も情報発信などさまざまな視点でサポートしてはどうか。[br] 現在、世界中で新型コロナの治療薬やワクチンの研究が進められているが、当面は“ウィズ・コロナ”の時代が続きそうだ。地域経済が疲弊する今こそ逆転の発想で、地方の底力を見せてほしい。