【連載・コロナと共に~変わる価値観】(7)「心構え」

今をおろそかにせずに生きることの大切さを語る長岡俊成さん=7月、むつ市 
今をおろそかにせずに生きることの大切さを語る長岡俊成さん=7月、むつ市 
日々、感染者が増加し、収束の兆しが見えない新型コロナウイルス。感染の恐怖や外出自粛によるストレスなど先の見えない状況に不安は尽きない。乗り越えるためには、どういう心構えを持つべきなのか。むつ市の曹洞宗円祥山大安寺で副住職を務める長岡俊成さん.....
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 日々、感染者が増加し、収束の兆しが見えない新型コロナウイルス。感染の恐怖や外出自粛によるストレスなど先の見えない状況に不安は尽きない。乗り越えるためには、どういう心構えを持つべきなのか。むつ市の曹洞宗円祥山大安寺で副住職を務める長岡俊成さん(45)に聞いた。[br][br] ―現状をどう見るか。[br] 感染者への差別など、自分たちさえ良ければよいという利己的な部分が現れていると感じる。マスクも法律になくても、いわゆる同調圧力により、みんなで従って身に着けている。それは他人から自分や家族が危害を加えられたくない、社会から不利益を被りたくないということから来るもので、必ずしも友愛の精神や利他心から起きているものではない。[br][br] ―不安に対する心の保ち方は。[br] 未来ばかり考えすぎると不安になってしまう。コロナのニュースばかりを見ると不安が増幅されるので、情報にさらされすぎないように見ない時間を設けることも大切ではないか。[br] 人間は過去には戻れないし、未来を完璧に予測するのは無理。生きていると関われるのは今。その時にしか関われないことをおろそかにしないことだ。天気が良い日に太陽の光を浴びたり、鳥のさえずりを聞いたり、景色を眺めたりと、今の時間を味わい、気持ちを整えることが有用だ。[br] 極端に言えば、「呼吸ができるという幸せ」に気持ちをフォーカスしてもよい。仏教や禅は呼吸を大事にする。不安に襲われたり、気持ちがふさぎがちになったりしたら深呼吸することで副交感神経が優位となりリラックスできる。[br][br] ―感染者への誹謗(ひぼう)中傷も多い。怒りの感情をコントロールするには。[br] 心理学でメタ認知というが、自分の意識を第三者的に俯瞰(ふかん)して見る自分を持つとよい。例えば怒りの気持ちが沸き起こってきたら、自分は何で怒っているのか客観的に原因を探り、それを解消していく。そうしないと怒りの気持ちに支配される。[br] 不安や悲しみの感情についてもそうだ。気持ちが落ち込んでいる。何で落ち込むんだろうと考える。ひょっとしたら家族に会えてないことが原因じゃないかと気付いたら、直接帰省できなくても電話したり、手紙を書いたりして不安の原因を解消することができる。[br][br] ―コロナにより価値観が変わった日常をどう生きていくか。[br] 仏教や禅で脚下照顧(きゃっかしょうこ)という言葉がある。自分の足元を見失わずに顧みなさいという意味だ。富裕層と貧困層はコロナの感染リスクが異なる。どちらかといえば、ポストコロナ、アフターコロナはリスクが低い富裕層が声高に言っている気がする。終息後の明るい未来を考えることは必要だが、失業したり収入が激減したりと渦中にある人たちを、まずは社会全体で応援することを考えないといけない。[br] 人間は独力で生きているのではなく、他者や自然といったいろいろな関わりの中で生かされており、謙虚にならなければいけない。弱い立場にある人を排除せず、相手を思いやり、支え合う気持ちを取り戻さなければ、アフターコロナの時代を生き抜いていけない。[br] ※今後は随時掲載となります。今をおろそかにせずに生きることの大切さを語る長岡俊成さん=7月、むつ市