天鐘(8月26日)

さまざまな世界記録が載っているギネスブックには、世界一遠くまで飛んだ紙飛行機というのもある。その距離、なんと69・14メートル。たかが折り紙と侮ることなかれ、である▼一方で、肝心なのは飛んだ距離ではないんだよ―と歌ったのがAKB48の『36.....
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 さまざまな世界記録が載っているギネスブックには、世界一遠くまで飛んだ紙飛行機というのもある。その距離、なんと69・14メートル。たかが折り紙と侮ることなかれ、である▼一方で、肝心なのは飛んだ距離ではないんだよ―と歌ったのがAKB48の『365日の紙飛行機』。〈その距離を競うより、どう飛んだか、どこを飛んだのか。それが一番大切なんだ〉。手折りの飛行機に生き方を重ねた▼安倍晋三首相が連続在職日数で歴代最長になった。一昨日、大叔父である佐藤栄作氏の2798日を抜いた。堂々たる記録は憲政史に太字で刻まれよう。とはいえ、国民に高揚感があるわけでもない▼振り返れば、掛け声は華やかだった。女性活躍、地方創生、1億総活躍…。今はどこに行ったのか分からない。7年8カ月の間に、成し遂げたのは何だったか。気づけば、コロナ対策の不評で支持率を落として迎えた節目である▼もっとも、推進力になったのは厚い支持というより「多弱」の野党だった気も。片方の翼に「安定」、もう一方に「1強」を乗せての飛行。安倍号の“航跡”は国民にどう映ってきたのだろう▼自民党総裁の任期も1年余りとなれば感慨深かろう。政治的遺産づくりも気になるところかもしれない。だが当面、求められているものは明確だ。どこを飛ぶのか、どう飛ぶか。くれぐれもそのことを見誤らぬよう、改めて願っておく。