手彫りにこだわり半世紀 印章店の堀内さん(二戸)

「喜んでもらえるはんこを作りたい」と作業に励む堀内青巒さん=8月上旬、二戸市
「喜んでもらえるはんこを作りたい」と作業に励む堀内青巒さん=8月上旬、二戸市
二戸市で約50年にわたって手彫りのはんこを作り続けている職人がいる。同市で印章店「大江堂(たいこうどう)」を営む堀内青巒(せいらん)(本名・正人)さん(70)。書家・篆刻(てんこく)家として活動している。一方、新型コロナウイルスの影響でリモ.....
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 二戸市で約50年にわたって手彫りのはんこを作り続けている職人がいる。同市で印章店「大江堂(たいこうどう)」を営む堀内青巒(せいらん)(本名・正人)さん(70)。書家・篆刻(てんこく)家として活動している。一方、新型コロナウイルスの影響でリモートワークが進み、決済方法が多様化するなど都市部を中心に“はんこ離れ”が進む。時代の流れを感じるものの、一つ一つ丹精込めて作る気持ちに変わりはない。「はんこ作りは自分のなりわい。お客さんが喜んでくれるものを作り続けたい」と、印刀を握り続ける。[br] 父親の代から続く2代目。大東文化大中国文学科で書道を本格的に始めたが、同級生は卓越した腕の持ち主ばかり。「自分もしっかり勉強しなければ」と思い、その後、書家・故青山杉雨氏らに弟子入りし、篆刻も学んだ。[br] 大学卒業後は都内で働きながら修業を積み、20代後半で帰郷。現在、多くのはんこはコストが安く大量生産が可能な機械彫りだが、堀内さんは今でも手彫りを貫く。[br] 依頼を受けるのは認め印や実印、会社印などさまざま。全国の書家からも作品に押す印を依頼されることも多く、時には紙の厚さよりも薄い線を彫ることもある。これまで「日展」に27回入選するなど数々の賞を受けてきた。[br] 新型コロナの影響で社会的には、“脱はんこ”の流れにある。二戸地域ではリモートワークが浸透していないこともあり、現時点で経営状況は以前とあまり変わらないというが、「いずれはペーパーレスの時代が来るだろう。だが、芸術の分野を含め、はんこ文化はなくなってほしくない」と率直な思いを吐露する。[br] 半世紀にも及ぶ経験や努力、依頼された仕事にかける情熱はまだまだ色あせない。「不要と言われるとつらい部分もあるが、良い腕を持っている自負はある。はんこの良さや魅力を理解してくれるお客さんがずっといてほしい」と願いを込める。「喜んでもらえるはんこを作りたい」と作業に励む堀内青巒さん=8月上旬、二戸市