自民1強に立ち向かうべく、立憲民主党との合流新党に参加を決めた国民民主党青森県連。次期衆院選に向け、大きな固まりになることで現政権に替わる民意の受け皿を目指す。ただ、野党勢力は離合集散を繰り返した経緯があり、「旧民主党の元のさやに収まっただけ」との批判も根強く、期待感は高まっていない。両党間には合流への考え方や政策に溝があるのが現状で、課題が山積したままの“再出発”となりそうだ。[br] 新党は衆参国会議員150人規模の参加を見込む。合流は両党が解党する対等合併の形を取るが、野党第1党で協議を主導した立民が中心的な役割を担うとの見方が強い。[br] 一方、県内では国民県連代表の田名部匡代参院議員が、長年にわたり野党の結集軸を担ってきた。県内の力関係を反映したい国民と、党本部と同様に主導権を握りたい立民との間で、ポストを巡る争いも予想され、組織づくりの根本の段階から不安要素もある。[br] さらに、新党の綱領案に明記された「原発ゼロ」にも両党間の考え方に隔たりがある。脱原発を掲げる立民は「綱領は絶対」とするが、国民は支持母体の労組の反発や、原子力関連施設が立地する県南の地方議員も難色を示し、政策の擦り合わせに苦労しそうだ。[br] 近年、国政レベルの選挙で続けてきた野党共闘の行方も不透明感が漂う。次期衆院選では新党として県内全選挙区に候補者を擁立する方針だが、青森1区で共産党が候補予定者を決定。現状のままだと競合が確実な情勢となっている。[br] 強固な組織票を持ち、県内全3議席を独占する自民党の牙城を崩すには、野党の支持者だけでなく、批判票の取り込みが不可欠。今後も候補者調整や協力関係の構築に向け、野党共闘を継続する必要がある。[br] 「選択肢がない政治は不幸。右でも左でもなく、幅広い人のため政策を実現する」。新党への合流を前向きに捉え、決意を新たにする田名部氏。現政権への不満を吸い上げ、政権交代を目指すには組織の結束が欠かせない。過去の歴史や個人の政治信条を超え、新党が一つになれるかどうかが勢力拡大への鍵を握る。