【超高齢社会の先へ】第3部 介護の未来(2)

介護の現場で活躍するロボット(写真はコラージュ、左から時計回りに歩行アシスト、見守りセンサーの画面、自動処理ができるポータブルトイレ)
介護の現場で活躍するロボット(写真はコラージュ、左から時計回りに歩行アシスト、見守りセンサーの画面、自動処理ができるポータブルトイレ)
介護の現場では、排せつや入浴などの日常生活、歩行などのリハビリをサポートする機器やシステム、「介護ロボット」の活用に期待が高まっている。最新技術を駆使した機器が次々と開発されている一方で、費用や使い勝手の面から、なかなか導入が進まないという.....
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 介護の現場では、排せつや入浴などの日常生活、歩行などのリハビリをサポートする機器やシステム、「介護ロボット」の活用に期待が高まっている。最新技術を駆使した機器が次々と開発されている一方で、費用や使い勝手の面から、なかなか導入が進まないという課題もある。ロボットは介護業界の救世主となれるのか。おいらせ町の介護老人保健施設「しもだ」の事例を取材した。[br]   ◇   ◇[br] 同施設では将来の人材不足を見据え、2015年から積極的に介護ロボットを導入し、見守りやリハビリ、生活支援など幅広い場面で活用している。[br] 例えば利用者の脈拍数や呼吸数、睡眠時間などを自動で計測する「見守りセンサー」。介護スタッフが9人分の状態をモニターで一括して把握できるため、効率的な見回りが可能になった。介護福祉士の高屋千桜里さんは「プライバシーを大切にしながらも、しっかりとした見守りができるのは心強い」と評価する。[br] 排せつ物を凝固させてフィルムで密閉するポータブルトイレ型の介護ロボットは、自動で排せつ物の処理をしてくれるため衛生的で臭いも少ない。利用者の不快感を減らすことができる上、洗浄や消毒など職員の手間が改善されている点も大きい。[br] リハビリの場面では歩行アシストのロボットが活躍している。作業療法士で同施設リハビリ科の宮崎肇科長によると、歩行アシストが自動で正しい歩行姿勢に導くため、作業療法士以外のスタッフの付き添いでも、十分な効果が見込めるという。[br] スタッフの負担軽減だけでなく、利用者の「申し訳ない」「恥ずかしい」といった心理的な負担も減らし、ケアや生活の質の向上も図れる介護ロボット。宮崎科長は「うまく利用し、介護がもっと楽しくなる工夫をすることで、働きやすく魅力的な職場づくりにつながれば」と期待を込める。[br]   ◇   ◇[br] 介護ロボットは介護者と要介護者の両者にとってメリットがある半面、高価なことや操作の難しさから導入をためらう施設も多い。青森県社会福祉協議会介護啓発・福祉機器普及センターでは、1台につき30万円を上限に導入費用の半額を補助する事業に取り組み、これまで延べ30事業所で計77台の導入を支援してきた。[br] 「装着するのに時間がかかる」「操作が難しい」「大きすぎて設置場所がない」など、現場のニーズに合っていないのも普及が進まない要因の一つ。対策として、厚生労働省は20年度に「介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム」を構築し、今月3日、同センターを含む全国11カ所に地域拠点を設置した。介護ロボットの貸し出しや展示場の運営、研修会の実施のほか、介護現場と開発業者双方の相談窓口として需要と供給のマッチングを図っていく構えだ。[br] 同センターの青田俊枝所長は「最新技術を使った新しい介護の在り方を、施設スタッフの皆さんが夢を持って思い描けるような支援ができたら」と願う。介護の現場で活躍するロボット(写真はコラージュ、左から時計回りに歩行アシスト、見守りセンサーの画面、自動処理ができるポータブルトイレ)