東日本大震災で大きな被害を受けた野田村。好天に恵まれた8月初め、2回に分けて十府ケ浦海岸から安家川まで歩いた。村内では復興のハード事業が進む。海岸線の景観を眺望しつつ、復興の力強さを感じながらの道のりとなった。[br] 緩やかな弧を描く海岸線に沿って、高さ14メートルの真っ白な防潮堤が続く。村では今年の春までに、総延長約2・6キロのかさ上げが完了した。津波の緩衝地帯として整備された十府ケ浦公園の盛り土の上を歩き、震災から9年半の歳月に思いをはせる。[br] 高台の「ほたてんぼうだい」からなぎの海にカメラを向ける。ここには震災の津波記念碑もある。教訓を記した石碑と三つの堤防をイメージした3枚の石版で構成され、震災当時の世帯数と同じ1674個の小石が並べられている。[br] 国道45号のかさ上げが進む米田海岸を抜けて山側へ。貴重な鉱山跡を見学できるマリンローズパーク野田玉川、ヤマブドウワインを製造する涼海(すずみ)の丘ワイナリーを通り、再び海沿いのコースに戻る。[br] 玉川野営場手前の獣道を抜けた先が玉川海岸。長い年月で侵食された、断崖を見ることができる。[br] そこからしばらく山道が続き、安家川に下りる。震災や2016年の台風10号から復旧したサケふ化場があり、海の手前には建設中の三陸沿岸道路、三陸鉄道、車が行き交う国道45号と三つの橋が見える。中でも三陸道はひときわ巨大だ。国が復興の目玉と位置付ける一大事業の迫力に思わず息をのんだ。