【八戸三社大祭】昭和の伝統山車復活 マチニワに3台展示

昭和30~40年代の作風が再現された伝統山車には、制作者たちの悪疫退散や地域の安寧の願いが込められる=31日午後7時40分ごろ、八戸市三日町のマチニワ
昭和30~40年代の作風が再現された伝統山車には、制作者たちの悪疫退散や地域の安寧の願いが込められる=31日午後7時40分ごろ、八戸市三日町のマチニワ
31日に開幕した発祥300年目の八戸三社大祭。新型コロナウイルスの影響で、行事の規模が縮小され、例年とは違って少し寂しい雰囲気の中、八戸市三日町のマチニワには、昭和の作風を再現した伝統山車がお目見えした。制作したのは各山車組の制作者たち。悪.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 31日に開幕した発祥300年目の八戸三社大祭。新型コロナウイルスの影響で、行事の規模が縮小され、例年とは違って少し寂しい雰囲気の中、八戸市三日町のマチニワには、昭和の作風を再現した伝統山車がお目見えした。制作したのは各山車組の制作者たち。悪疫退散や地域発展を祈って、持てる技術を結集した。訪れた市民は、これまでの大型で豪華絢爛(けんらん)な姿とはひと味違う、情緒的でありながら迫力ある山車に見とれ、ふるさと安寧の願いを重ねた。[br] 山車づくりは7月2日からスタート。神明宮、おがみ神社、長者山新羅神社の附祭ごとに昭和30~40年代の作風を再現する初めての試みとなった。[br] 波山車に挑んだ神明宮の附祭グループは、南部武者が悪疫の根源を討ち、沈んだ民の心を水で流す場面を描き、タイトルもずばり「悪疫退散」とした。[br] おがみ神社の附祭は、岩山車を制作。中国に伝わる疫病払いの神「鍾馗(しょうき)」を現した大きな人形を中央に大きく据え、迫力ある表情で、市民を守るかのように周囲ににらみをきかせる。[br] 長者山新羅神社の附祭が作り上げた高欄山車は、義経伝説をモチーフに、今春の外出自粛で楽しむことができなかった桜が満開の様子を表現した。[br] 3台ともに幅、奥行き共に約2・7メートルの小型サイズながら、制作者たちが工夫を凝らし、例年の山車に引けを取らない仕上がりとなった。[br] マチニワのオープン時間の午前6時に山車の展示がスタートすると、道行く市民の注目を集めた。午後7時からはお囃子(はやし)の披露も始まり、華やかな祭りの雰囲気が広がった。[br] 同市六日町で生まれ育ち、長年祭りを見てきたという女性(81)は「飾られている山車が素晴らしく、祭りの変わらない良さが伝わってくる」と感激した様子。仕事帰りに立ち寄った男性(39)は「山車が思った以上に豪華で驚いた。普段と違うのは動かないというくらいで、祭り気分を十分味わえる」と目を細めた。[br] 制作者たちは満足げに見つめた。山車制作に参加した廿六日町山車組の畑中孝一さん(49)は「山車組の垣根を超えて一つの山車を作ろうとする制作者たちの熱意と、悪疫退散の願いを感じてほしい」と話した。[br] 山車振興会の小笠原修会長は「節目の年に伝統山車に挑戦したことで、あらためて制作者たちも祭りの意義について考える機会となった。今後もさらに保存と継承を進めながら、祭りを発展させていきたい」と力を込めた。 山車の展示は16日まで毎日行われる。昭和30~40年代の作風が再現された伝統山車には、制作者たちの悪疫退散や地域の安寧の願いが込められる=31日午後7時40分ごろ、八戸市三日町のマチニワ