【連載・八戸三社大祭「伝統の原点へ」】インタビュー編(4)「子どもたちのために」十一日町龍組・制作責任者 石橋元平さん(38)

「子どもたちに祭りの魅力をもっと発信していきたい」と語る石橋元平さん=21日、八戸市
「子どもたちに祭りの魅力をもっと発信していきたい」と語る石橋元平さん=21日、八戸市
八戸三社大祭の山車審査で、昨年まで3年連続の最優秀賞に輝いた十一日町龍組。制作陣を束ねる石橋元平さん(38)は、若手制作者の筆頭格で、三社大祭の未来を担う「祭り人」でもある。新型コロナウイルスの影響で、山車の展示や運行が見送られることを受け.....
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 八戸三社大祭の山車審査で、昨年まで3年連続の最優秀賞に輝いた十一日町龍組。制作陣を束ねる石橋元平さん(38)は、若手制作者の筆頭格で、三社大祭の未来を担う「祭り人」でもある。新型コロナウイルスの影響で、山車の展示や運行が見送られることを受け、伝統をつなぐ上で欠かせない、子どもたちの育成に改めて目を向ける。[br][br] ―三社大祭は発祥300年目を迎えた。[br][br] 歴史的な瞬間に立ち会えることは何よりもうれしい。私たちの山車組にとっても今年は三社大祭参加130周年の大きな節目だった。春の段階で既に構想は固まり、記念の年にふさわしい山車を作り上げたいという思いだったが、新型コロナの影響で全てがなくなった。現在の状況を見ると当然と言えば当然のこと。毎年多くの人が見に来てくれる三社大祭から感染者を出す心配がなくなったことには安心した。[br][br] ―例年なら連日、山車制作に没頭する。[br][br] いつもあったものがなくなることが、こんなに寂しいものだとは。時間の使い方もよく分からないほどだった。悲しい思いを引きずっても仕方がない。これまで使っていた人形の修理をしたり、はっちで募集している塗り絵の原画を手掛けたりして、今までできなかったことに時間を割くようになった。山車について思いを巡らすことはやめたくなかったし、与えられた時間を有効に活用しようと考えるようになった。[br][br] ―31日からマチニワで展示する山車は昭和30~40年代の伝統山車となる。[br][br] (全27の山車組で構成する)はちのへ山車振興会で伝統山車の制作が決まったが、自分にとっても新たな挑戦。やってみたいと思っていたし、この機会がなければやることもなかっただろう。現在の山車は、台車にこれでもかと人形を乗せて装飾も施すが、当時の山車はそこまで詰め込まない「隙間の美学」がある。山車作りの原点が詰まっていて、最近の山車に負けない魅力がある。[br][br] ―次の夏への思いは。[br][br] 子どもたちのために山車を作ってきたし、これからもその思いは変わらない。コロナ禍で山車を直接見せられないことによって、子どもたちに祭りの魅力をもっと発信していく重要性を感じることができた。今年は多くの山車絵を描くこともでき、自分の中でも山車への思いがさらに高まった。手は止めたくないし、常に祭りへの思いを高めていくことが、祭りを守ることにもつながるはずだ。「子どもたちに祭りの魅力をもっと発信していきたい」と語る石橋元平さん=21日、八戸市