八戸市八日町地区の再開発事業 街なか居住の増加を生かせるか/中心街への出店促す仕掛けを

新たに「DEVELD八日町」(左)が誕生した三日町交差点。空洞化が進む中心商店街への波及効果が問われている=24日、八戸市中心街
新たに「DEVELD八日町」(左)が誕生した三日町交差点。空洞化が進む中心商店街への波及効果が問われている=24日、八戸市中心街
八戸市八日町の複合ビル建て替え事業は、構想から8年余りの歳月を経て今月末に完了する。中心街の“中枢”である「三日町交差点」に、地元企業主導で再開発ビルが誕生した意義は大きいが、商業機能は構想段階から後退した格好となった。一方、ファミリー向け.....
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 八戸市八日町の複合ビル建て替え事業は、構想から8年余りの歳月を経て今月末に完了する。中心街の“中枢”である「三日町交差点」に、地元企業主導で再開発ビルが誕生した意義は大きいが、商業機能は構想段階から後退した格好となった。一方、ファミリー向けの分譲マンション計57戸が整備され、少なくとも100人超の街なか居住が増える見込み。人口増による消費拡大効果を生かし、空洞化が進む中心街への出店を促す仕掛けが重要だ。官民を挙げて二の矢、三の矢となる活性化策を打ち出せるかが今後の焦点となる。[br] 八日町地区の再開発は、中心街再生の起爆剤と期待された「はっち」開館翌年の2012年に立ち上がった。同市の田名部組を母体とする事業主体の八日町プロジェクト(当時)が提案したのは、旧長崎屋ビルを解体後、商業スペース、オフィス、マンションの三つの機能を備えた複合ビルを建設する計画だった。[br] だが、東日本大震災の復旧需要を背景に資材が高騰するなどし、数回の計画変更を余儀なくされた。17年夏に最終的な方向性が固まり、事業主体は「新八日町プロジェクト」に移行。新計画の複合ビルは分譲マンションが大半を占め、商業スペースやオフィスの割合は縮小する形となった。[br] 建て替え事業では、国の制度「優良建築物等整備事業」を活用し、旧ビルの解体費も含めて国と市が約7億円を補助した。行政側にも多額の税金を投じた“責任”があり、今後は再開発効果を中心街全体に波及させる取り組みが不可欠だ。[br] 一方、マンションは短期間で完売。市内でもマンションや街なか居住のニーズが高いことが実証された。第3期市中心市街地活性化基本計画では、指標の一つに「中心街の人口の社会増減数」を掲げる。18年12月~24年3月の期間中に70人増を目指しているが、マンション効果で目標のクリアに大きく近づきそうだ。[br] 新たなランドマークの誕生と居住人口の増加によって中心商店街の地力が高まり、出店や起業の促進につながる契機にもなり得る。今回の再開発事業について、八戸商工会議所の河村忠夫会頭は「数々の難問を解決し、ついにビルが完成することを歓迎する」と強調。「重要拠点である三日町交差点の街並みが整い、中心街への出店が進むことを期待している」と話した。新たに「DEVELD八日町」(左)が誕生した三日町交差点。空洞化が進む中心商店街への波及効果が問われている=24日、八戸市中心街