八戸三社大祭の思い出1冊に 短歌クラブ代表の木立さん、祭りを詠んだ300首収録

歌集「日本一の山車まつり短歌三百首」を自費出版した木立徹さん=7月上旬、八戸市内
歌集「日本一の山車まつり短歌三百首」を自費出版した木立徹さん=7月上旬、八戸市内
八戸市の短歌グループ「希望の会」代表の木立徹さん(63)が、八戸三社大祭300年目の節目に合わせ、祭りを詠んだ自身の300首を収めた歌集「日本一の山車まつり短歌三百首」を自費出版した。若い頃には山車作りにも携わった根っからの祭り好きで、今年.....
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 八戸市の短歌グループ「希望の会」代表の木立徹さん(63)が、八戸三社大祭300年目の節目に合わせ、祭りを詠んだ自身の300首を収めた歌集「日本一の山車まつり短歌三百首」を自費出版した。若い頃には山車作りにも携わった根っからの祭り好きで、今年の新型コロナウイルス感染拡大による山車行列などの中止にショックを受けた。木立さんは「節目を迎えた八戸三社大祭と、市民のための作品集。『こういうことがあったな』と懐かしんでほしい」と、この1冊が祭りの思い出を呼び起こし、癒やしにつながることを願っている。[br] 子どもの頃から三社大祭が好きで、「時期が近づくと、いても立ってもいられないくらいだった」といい、観覧だけでなく、引き子として参加。東京に就職したが、「三社大祭に携わりたい」と八戸に戻り、根城新組で15年ほど山車制作に加わった。[br] 歌集は300年の節目に合わせて発行しようと、5、6年前から構想。千首詠んだ中から300首を厳選して編集した。山車に乗る巨大な鬼に泣き出す子どもの姿、お還りの後に食べるおにぎりのおいしさ、今ではあまり見かけない藤の蔓(つる)やハトロン紙を使った山車制作…。半世紀以上にわたる祭りの思い出の一つ一つを歌に詠み込んだ。[br] 〈鼻の穴に息吹きかけることなかれ老人形師の古き戒め〉は「人形には霊魂がやどる。鼻の穴を開け息を吹き込むと命を吸い取られるぞ」というベテランからの教え。真っ暗な山車小屋に1人でいる怖さを詠んだ、〈蒸し暑き屯所の二階の夜は更けて武者人形の生首ならぶ〉。山車組の特徴を捉えた、〈どこまでも連なる長き引き綱にまだ近づかぬ吹上の山車〉や〈夏のかぜ呼びきてシャラリシャラシャラと山車曳く子等の前掛けの鈴〉。〈町内を追はれ追はれて山車小屋が東部終末処理場に建つ〉は現代の課題を捉えた1首だ。[br] 開幕まで1カ月を切り、木立さんは「今頃はお囃子(はやし)の練習の音が聞こえてくるはずのに、ただ暑い夏が過ぎるのは寂しいし、物足りない」と肩を落とす。[br] 一方、今年の祭りへの思いはきっと来年のエネルギーになると信じており、「来年が今まで以上に素晴らしい八戸三社大祭になることを願っている」と思いを語った。[br] 歌集は800円で、八戸市内の書店で購入できる。歌集「日本一の山車まつり短歌三百首」を自費出版した木立徹さん=7月上旬、八戸市内