天鐘(7月17日)

「団塊」「白け」「新人類」「バブル」「ロスジェネ」「ゆとり」。世代を切り取る言葉は数多い。画一的に括(くく)ることには違和感を覚える。語感もどこか否定的。ただ言い得て妙ではあるらしい。流行語にもなった▼随分といびつになったとはいえ、社会は世.....
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 「団塊」「白け」「新人類」「バブル」「ロスジェネ」「ゆとり」。世代を切り取る言葉は数多い。画一的に括(くく)ることには違和感を覚える。語感もどこか否定的。ただ言い得て妙ではあるらしい。流行語にもなった▼随分といびつになったとはいえ、社会は世代が積み重なって成り立っている。一方で政治、経済、教育の環境が異なれば、価値観や行動様式には違いが生じる。故に先人もまた、世代間ギャップに悩んできたのである▼「近頃の若いもんは…」。酒の席で世代論が過熱すると、決まってこんな台詞(せりふ)が飛び出す。多くの場合は愚痴が続くが、今は「すごいなぁ」という感嘆かもしれない。17歳の快挙に万雷の拍手である▼新旧の「若き天才」による注目の対決。藤井聡太七段が現役最強の三冠を打ち破った。プロ入り、公式戦連勝、タイトル奪取と三つの大記録。あどけなさが残る表情と、成し遂げた偉業の振り幅が大きくて戸惑う▼21世紀生まれ。人工知能(AI)も活用して研さんを積む。「AI世代」との当て付けも聞くが、生身の棋士がしのぎを削る対局の醍醐味(だいごみ)は門外漢にも伝わった。英知を注ぎ、閃(ひらめ)きを生かして、堂々の戴冠である▼人心掌握の心得を多く残した山本五十六。かの軍人は小壮に対する繰り言を戒め、諭したという。「可能性を発見してやってくれ」。若者は無限大であることを、藤井君にも教えてもらった。