制度のはざまに救いの手 青森県社協の「しあわせネットワーク」広がる

相談が増えている青森県社会福祉協議会の「青森しあわせネットワーク」。相談員(右)は丁寧な聞き取りで必要な支援につなげている(県社協提供)
相談が増えている青森県社会福祉協議会の「青森しあわせネットワーク」。相談員(右)は丁寧な聞き取りで必要な支援につなげている(県社協提供)
青森県内の社会福祉法人が連携し、生活困窮者を対象に食材提供や光熱費の代行払いなどを行う、県社会福祉協議会の「青森しあわせネットワーク」の取り組みが広がっている。事業を開始した2017年度からの支援件数は累計で延べ千件近くに上り、支援額は12.....
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 青森県内の社会福祉法人が連携し、生活困窮者を対象に食材提供や光熱費の代行払いなどを行う、県社会福祉協議会の「青森しあわせネットワーク」の取り組みが広がっている。事業を開始した2017年度からの支援件数は累計で延べ千件近くに上り、支援額は1200万円を超える。今年3月以降は新型コロナウイルスの影響で支援件数が伸びており、相談者の悩みに迅速に対応する同事業の活用がさらに進みそうだ。[br] 生活保護や失業保険は申請から支給までに時間がかかる。だが、生活困窮者の中には、日々の暮らしがやっとで食べ物に困っていたり、電気や水道が止められそうになっていたり、再就職に至っても給料日までの生活のめどが立てられなかったりと、すぐにでも支援を必要とする人が少なくない。そういった制度の“はざま”で苦しむ人に手を差し伸べようと、同ネットワークは設立された。[br] 「一人親世帯で収入に困っている」「親の介護のために仕事を辞めて生活が苦しい」―。同ネットワークに参加する、八戸市の社会福祉法人みやぎ会のデイサービスセンターみやぎ(中村慎也管理者)にもさまざまな相談が寄せられている。同施設の担当職員柳谷みどりさんは「家庭環境が複雑でデリケートな問題を抱えている人も多く、どこまで踏み込んで聞き取りをするかは見極めが難しい」と悩みつつも、「支援後の自立につながるような対応ができれば」と取り組みの意義をかみしめる。[br] 同ネットワークの支援は原則「現物給付」。各法人の担当職員がスーパーでの買い物に付き添ったり、金融機関に同行して光熱費の支払いを代行したりと必要な支援をピンポイントで行うのが特徴だ。[br] 県社協によると支援件数は20年3月末現在で計967件に上る。相談者は40~50代が多く、ほとんどが行政の生活困窮に関する窓口を通して相談に訪れる。子育て世帯や引きこもりに悩む家族に加え、最近は高齢者の相談も目立つという。[br] さらに今年3~4月は新型コロナの影響で収入が減った人からの相談が相次ぎ、毎月の支援額が100万円を超えた。県社協では、相談件数のさらなる増加に備え、食料品の備蓄の強化などを図る考えだ。[br] 全体の支援件数が伸びる一方、地域差の解消が今後の課題だ。県社協社会貢献活動推進室の葛西裕美室長は県南地域での認知度の低さを指摘し、「まだまだ支援を必要としている人はいるはず。関係機関と連携し、潜在的な困窮者に確実に支援を届けられるようにしたい」と話している。[br] 問い合わせは県社会福祉協議会=017(723)1391=へ。相談が増えている青森県社会福祉協議会の「青森しあわせネットワーク」。相談員(右)は丁寧な聞き取りで必要な支援につなげている(県社協提供)