【連載・羽ばたけジュノハート(2)】最高級品「ハートビート」に情熱

スケールで青森ハートビート級のサイズに育っていることを確認する山田仁志さん=23日、三戸町
スケールで青森ハートビート級のサイズに育っていることを確認する山田仁志さん=23日、三戸町
青森県独自品種のサクランボ「ジュノハート」は、大玉で特徴的なハート型や強い甘みが売り。中でも最上級品「青森ハートビート」は大きさ、色、形に厳しい基準が設けられている。 そんな“エリート集団”の育成に情熱を注ぐ果樹農家が、三戸町の馬淵川沿いで.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
青森県独自品種のサクランボ「ジュノハート」は、大玉で特徴的なハート型や強い甘みが売り。中でも最上級品「青森ハートビート」は大きさ、色、形に厳しい基準が設けられている。 そんな“エリート集団”の育成に情熱を注ぐ果樹農家が、三戸町の馬淵川沿いでサクランボを栽培する山田仁志さん(52)。「スタイル抜群の“美女”ぞろい。うちはハートビート専門よ」と胸を張る。[br] ハートビートとなれるのは、傷や病害虫被害の痕がまったくない4Lサイズ(直径31ミリ)以上で、さらに品質検査で「特秀」か「秀」とされたものだけ。色むらが生じやすい、日陰になった面でも80%以上の着色率が条件となる。[br] 育成には高い技術と多くの手間が必要だ。春先にはまず、余分なつぼみを落とし、花の数を制限する。「花を咲かせるのが一番養分を使うんだ」と山田さん。5月初旬の開花後は、毛ばたきで丁寧に授粉作業を行った。[br] 表裏両方の色づきを促すため、地面には日光を反射する銀色のシートを敷いている。生育に応じ、実が近接しないよう摘み取ったり、実に影を作る葉を取り除いたりと、適切な管理が欠かせない。しかも、三八地域の果樹農家は、複数の農作物を手掛ける複合経営がほとんど。山田さんもリンゴやモモなどを栽培しており、作業が重なる時期は目が回るほどの忙しさだ。[br] 今年は新型コロナウイルスの動向にも気をもんだ。「『こんな時期に高級サクランボなんて…』と感じる人もいるのではないか」。全国デビューが決まった今も、不安が完全に消え去ったわけではない。それでも「とにかく良い物を作れば問題は解決する」との信念に従い、前に進み続けた。[br] 全国デビューの日が近づくにつれ、周囲の期待が高まっていくのを感じている。「ハートビートは青森産サクランボのけん引役との位置付けだが、期待感だけで終わらせてはならない。多くの人が実感を持てるよう、常に戦略を立てていかなければ」。視線はすでに、デビュー後に向けられている。スケールで青森ハートビート級のサイズに育っていることを確認する山田仁志さん=23日、三戸町