【謎の記念硬貨】木製の箱入り、青森県南に所有者多く 発行者は依然不明

箱入りのものが見つかった謎のコイン。青森県南で多く流通していた
箱入りのものが見つかった謎のコイン。青森県南で多く流通していた
六ケ所村のむつ小川原国家石油備蓄基地の事業を記念したとみられる“謎のコイン”について、青森県南で広く流通していることが本紙の取材で分かった。八戸市や三戸町などに所有者がおり、陸上自衛隊八戸駐屯地など同市内で購入したという証言もあった。ただ、.....
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 六ケ所村のむつ小川原国家石油備蓄基地の事業を記念したとみられる“謎のコイン”について、青森県南で広く流通していることが本紙の取材で分かった。八戸市や三戸町などに所有者がおり、陸上自衛隊八戸駐屯地など同市内で購入したという証言もあった。ただ、発行者につながる情報はなく、経緯や目的は依然としてベールに包まれたままだ。記念硬貨などに詳しい県内のコイン愛好家は「作りは雑だが、これだけの物を作るには手間も金額もかかる。意図が分からない」と首をひねっている。 [br] コインについては、昨年10月、会員制交流サイト(SNS)に謎の硬貨として写真投稿があり、インターネット上で話題になった。「日本国」「千円」などと刻まれているものの、国が発行した硬貨ではなく、同備蓄基地の事業者らも作製を否定している。[br] 本紙には5月30日の記事掲載以降、コインを所有する市民から7件の情報提供があった。所有者は全員、木製の箱入りで持っており、箱には「青森県」「記念」「むつ小川原湖国家石油備蓄開発建設事業」と印字されていた。[br] 三沢市の河村美保(みつやす)さん(70)は箱入りで5枚を所有しているが、どのように手に入れたかは覚えていない。「村と関係はないし、記念硬貨に興味もない。高く買ったとすれば記憶に残るので、額面通りに手に入れたのではないか」と話す。[br] 購入先については、勤めていた八戸市臨海工業地帯の素材メーカーで買った可能性があるという。会社では出入り業者から物品を購入し、社内向けに販売することがあったためだ。[br] 同じ会社に勤めていた八戸市の小岩征夫さん(76)も1枚所有。「買ったか、もらったかは忘れてしまった」と話すものの、箱に昭和56(1981)年と自ら記入していたため、その頃に入手したとみられる。同じ会社からはもう一人の購入が確認された。[br] 同市の女性(50)からは「自衛隊員だった父(82)が陸上自衛隊八戸駐屯地内で購入したと話している」との情報も寄せられた。販売元の記憶は昔のために忘れてしまったものの、額面通りに買ったという。[br] このほかにも同市内や三戸町に所有者がいたが、発行者につながる情報は記憶していなかった。ただ、県南でなんらかの形で売られていた可能性が濃厚だ。所有者からは「だまされたとしてもいいので、どういうものかはっきりさせたい」との声が聞かれた。[br] 県内のコイン愛好家で組織する青森市の青森貨幣研究会事務局の奈良功さん(48)は「こんなコインの話をこれまで聞いたことがない。販売していたなら、もっと数が出回っていてもいいはずだ」と不思議がる。[br] 奈良さんによると、謎のコインは直径約40ミリで重さ約26グラム。金メッキを施しているのが見てとれるという。日本国内で出回っている1950年代の記念硬貨と比較すると一回り大きく、「デザインがそれらしくはあるが、縁に刻まれるギザギザが荒いなど硬貨としては明らかに偽物と分かる」と指摘する。[br] 一方で、コインの製造単価については金メッキなどのコストが掛かるため、「これを千円で売っていたとしたら、大したもうけは出ないと思う。だますためと言うよりは、本当に記念品として作られたのではないか」と分析した。[br]   ◇    ◇[br] 「謎の記念硬貨」についてご存じの方はデーリー東北新聞社報道部まで情報をお寄せください。メールアドレス=houdou@daily―tohoku.co.jp=か電話=0178(44)5111=、ツイッターの本社公式アカウントのダイレクトメッセージへ。箱入りのものが見つかった謎のコイン。青森県南で多く流通していた