新型コロナウイルスの感染拡大で開幕が延期されていたプロ野球公式戦が19日に始まる。緊急事態宣言が解除された社会にようやくスポーツも戻ってくる。ただ感染の第2波、3波を警戒しながらの「新たな日常」の下では、スポーツも以前とは違う在り方を求められる。[br] 約3カ月遅れとなったプロ野球開幕に続き、2月から中断されていたサッカーJリーグ(J1)も7月に再開する。活動が止まっていたスポーツ界の先陣を切る国内二大プロ競技の再始動を歓迎したい。当面は無観客となるが、ファンはスポーツシーンの復活を待ち望んでいた。テレビやネット配信の映像を通じて熱戦を応援したい。[br] 長引いた自粛生活で、スポーツを含む文化的な活動も大きな影響を受けた。日常に溶け込んでいたスポーツが消え、人々はあらためてその価値に思いをはせた。プロ野球やJリーグで、ひいきチームのプレーに一喜一憂できる幸福をかみしめることが再びできる。[br] しかし大きな制約下でのプレーボール、キックオフであることを肝に銘じたい。選手はもちろん、すべての関係者の安全確保、健康管理に万全を期さねばならない。プロ野球、Jリーグとも複数の感染選手が出た。開幕前のPCR検査の徹底など感染防止に向けた課題は多い。チームの移動や宿舎での生活にもリスク軽減の手当てがいる。[br] 一足先に開幕した台湾、韓国プロ野球も参考に、プロ野球、Jリーグとも専門家の意見を聞いて感染防止マニュアルを作成するなど細心の準備を進めてきた。選手同士のハイタッチや試合中のつば吐きの禁止、選手や審判員の動線分離など新たな運営ルールも設けられた。[br] Jリーグでは無観客で再開した後、徐々に観客を入れてゆく計画を示している。プロ野球も時期がくれば追随するだろう。ファンあってのプロスポーツで、経営的にも入場料収入は欠かせない。ただ観客が入れば応援方法も、これまで通りではいけない。感染リスクを避けるため、集団で大声を上げたり、跳びはねたりすることは禁じられよう。応援にも新たなスタイルが求められる。[br] いったん始まればシーズンは長丁場になる。第2波、3波で再度、感染が拡大すれば対応はさらに困難になる。これまで以上に臨機応変な危機管理が必要になる。新型ウイルスと共生しながらのプロスポーツ運営の成否は、来年夏に延期された東京五輪・パラリンピックの開催判断にも影響を与えるだろう。