三沢基地騒音調査/住民再度の調査要求、防衛局「計画なし」で平行線

岡三沢5丁目に設置され、今回の調査にも使われた騒音測定装置=10日、三沢市
岡三沢5丁目に設置され、今回の調査にも使われた騒音測定装置=10日、三沢市
航空自衛隊三沢基地への最新鋭ステルス戦闘機F35A配備を巡り、東北防衛局が配備前後の2017、18年度に、基地の滑走路に近い三沢市岡三沢5、6丁目地区で実施した騒音調査の概要が今月、住民の代表に報告された。住民側は「調査時期と配備が進む現在.....
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 航空自衛隊三沢基地への最新鋭ステルス戦闘機F35A配備を巡り、東北防衛局が配備前後の2017、18年度に、基地の滑走路に近い三沢市岡三沢5、6丁目地区で実施した騒音調査の概要が今月、住民の代表に報告された。住民側は「調査時期と配備が進む現在とでは状況が異なる」と改めて同様の調査をするよう求めたのに対し、同局側は現時点で「計画はない」とし、双方の意向は平行線をたどる。F35Aは本年度中に二つ目の飛行隊が新設される計画もあり、住民側は再調査を強く求める考えを示す。[br] ◆状況把握が目的[br] 同局によると、今回の調査は、環境省が定める航空機騒音の評価指数が変わり、離着陸に伴う飛行騒音に加え、誘導路を移動する際などに生じる地上騒音も評価対象となったことによるもの。F35Aが三沢に国内で初配備される状況などを踏まえ、現在騒音対策区域のうち住宅防音工事対象の「第1種区域」の中で、住民が移転を求める同地区を調査地に選定した。[br] F35A配備開始は18年1月。同局は、岡三沢5、6丁目に設置した装置により、17年9~11月と18年10、11月に騒音を測定した。飛行騒音に地上騒音を加味した結果、配備後の18年度は6丁目74・9デシベル、5丁目73・5デシベルで、共に住宅の移転対象となる「第2種区域」の指定基準値の73デシベルを超えた。[br] 一方、調査結果の評価について同局は「同等な値が将来的な騒音度調査でも得られるかは、現時点で確定的に言えないと判断した」と説明。今回の調査自体が、同地区の大まかな騒音状況の把握を目的とし、住宅防音工事対象区域などの指定の基となる「騒音コンター」作成のため、一定期間をかけて行う騒音度調査と手法が異なることなどを理由に挙げた。[br] ◆我慢には限度が[br] 「いつの結果か。古い。最近は本当にうるさいんだ」。岡三沢6丁目町内会の小泉愃司会長は、説明会で不満をぶつけた。[br] 同局の担当者は報告まで時間がかかったことを陳謝。「地元の窮状は十分受け止めている」としたものの、今後は飛行場周辺で実施中の常時計測で確認していく―と述べるにとどめた。[br] F35Aの配備機数は現在18機(うち1機は墜落)。最終的には40機程度とされており、態勢が整い次第、領空侵犯の恐れのある外国機に対する緊急発進(スクランブル)の警戒待機任務に当たることになる。[br] 同局は取材に、今後の調査実施について「F35Aは現時点で配備途中の段階。今後の配備や訓練の状況を見ないと何とも言えない」とした。これに対し、長年同地区で暮らす小泉会長は、市が掲げる基地との共存共栄に理解を示しつつも「数が増えれば騒音はこんなものではなくなる。我慢にも限界がある」とし早期の対応の必要性を訴えた。[br] 新たな対応の検討は配備状況を踏まえてとする同局側と、現状をよく見てほしいと願う住民側。小桧山吉紀市長は「住民は日々耐えがたい苦痛を受けている。早く解放されるよう国に求める」とし、住民の不満解消に向けた対策などについて要望を進める意向を示す。岡三沢5丁目に設置され、今回の調査にも使われた騒音測定装置=10日、三沢市