少子化と人口減少に歯止めが掛からない。厚生労働省が発表した2019年の人口動態統計(概数)によると、青森県では死亡数が出生数を上回る自然減が過去最多の1万1254人となった。亡くなる人が多く、産まれてくる子どもが少ない県の現状と課題が改めて浮かび上がった格好だ。[br] 出生数は前年比633人減の7170人と統計開始以来、最少を更新。1970年は2万6369人だった。約半世紀の間で、7割以上も落ち込んだ。[br] 人口千人当たりの出生率は5・8で、全国の7・0を1・2ポイント下回り、全国順位は前年から変わらず45位。一人の女性が一生の間に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率は1・38。2016年に1・48人を記録して以降、減少傾向にある。[br] 国、県や市町村は子育てしやすい環境づくりを推進。地域では街コンなど男女の出会いを創出する事業も積極的に開かれている。だが、県の婚姻数は減り続けていて4601組と過去最少に。短期的に子どもが増える状況にはなく、施策の効果は乏しいと言わざるを得ない。[br] 死亡数は増え続けている。19年は戦後最多の1万8424人を記録した。死因の1位は前年に続き悪性新生物(がん)。がんにより5124人が命を落としていて、死亡率は全国ワースト2位だった。心疾患、脳血管疾患を含めた三つが死因全体の5割を占めている。[br] これらは生活習慣に起因している可能性が高い。県内では働き盛り世代が病気で命を落とす傾向が強いとされる。がんについては早期発見、早期治療の環境整備が急務だ。[br] 自然動態は1950年に3万人近い自然増だったが、年々減少。99年に減少に転じて以降、18年に1万人を突破し、自然減が拡大している。数字を見るだけでは実感しにくいが、地域社会の縮小は確実に進んでいる。[br] 人口減少の克服は県政の最重要課題であり、転出入による社会動態の減少との「二重減」への対応は待ったなしだ。[br] 出生を増やすには、地域の魅力を高め、選ばれるまちづくりを進める必要がある。死亡数減のためには平均寿命の延伸も不可欠だ。地道な取り組みを重ねつつ、あらゆる手だてを講じて、特効薬のないこの問題に立ち向かわなければならない。[br] 自治体はそれぞれ「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき人口減少対策を進めている。何より自治体同士の連携が欠かせない。地域一体で、難局打開に知恵を絞ってほしい。