天鐘(6月14日)

南からの前線がゆっくりと北上、北海道を除き、唯一残る北東北にもいよいよ梅雨が迫っている。現下のコロナ禍に忘れてしまいそうだった雨の季節。自然の営みの律義さを改めて思う▼お天気キャスターの倉嶋厚さんによると、ウイルスではないが、梅雨にも「陰性.....
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 南からの前線がゆっくりと北上、北海道を除き、唯一残る北東北にもいよいよ梅雨が迫っている。現下のコロナ禍に忘れてしまいそうだった雨の季節。自然の営みの律義さを改めて思う▼お天気キャスターの倉嶋厚さんによると、ウイルスではないが、梅雨にも「陰性」と「陽性」があるそうだ。シトシトと長く降り続くのが陰性梅雨。突然、ザーザー降るのを陽性梅雨と呼ぶらしい▼アジサイの花にカタツムリ。子供のころの梅雨の風景は優しかった。今はといえば容赦なきゲリラ豪雨。風情のかけらもない“超陽性”である。とまらぬ地球温暖化が天を乱し、大いなる地異に人は逃げ惑う▼〈川へいがなかや梅雨ゃあがらん〉。南九州にはそんな言い方があるという。「川へい」とは溺死のこと。人が死なないと梅雨が明けない―とはすさまじいが、もう大げさとも言えまい。「何十年に一度」が、今は毎年やってくる▼今年は特に避難所が気になる。雨に追われて集まれば「3密」の危険性。かと言って判断を遅らせてしまえば、それこそ命取りだ。いざというときのための準備と心構えは常に持っていたい▼梅雨の「陰陽」は年々、極端になるばかり。片や感染症に目を移せば、陰性、陽性に加えて「偽陰性」や「微陽性」なるものまで現れ、よく分からなくなってきた。ややこしくなりそうな今回の梅雨。マスクをしながら、天をうかがう。