時評(6月7日)

三沢空港の東京(羽田)線が、2020年冬ダイヤ(10月25日~21年3月末)から22年夏ダイヤ(22年3月末~10月末)まで、現行の1日3便から4便に増便となる。02年12月に減便されて以来、1日4便の運航は約18年ぶりだ。 国土交通省が昨.....
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 三沢空港の東京(羽田)線が、2020年冬ダイヤ(10月25日~21年3月末)から22年夏ダイヤ(22年3月末~10月末)まで、現行の1日3便から4便に増便となる。02年12月に減便されて以来、1日4便の運航は約18年ぶりだ。[br] 国土交通省が昨年度実施した、地方空港に羽田空港の国内線発着枠(5枠)を割り当てる政策コンテストで増便が決定。7空港の関係自治体や航空会社が、枠獲得に向けて利用者増のアイデアを提案し、三沢は審査で5位となった。[br] 1~4位には1便ずつ配分される。三沢と6位の下地島(沖縄)は僅差で、21年3月末から1年間、残り1枠を決定するための「トライアル運航」を実施することに。これに伴い、前後の20年冬ダイヤと22年夏ダイヤも暫定運航が認められた。[br] 便数の多さは空港、そして空港を擁する地域にとって、大きな強みである。住民の行動範囲の拡大や活動の多様化につながり、ビジネスや観光で訪れる人にとっては滞在中の過ごし方の幅が広がる。周辺自治体でも、観光客らによる「交流人口」、地域に関わりを持つ「関係人口」の増加が期待できる。[br] 提案には青森県、周辺13市町村などでつくる三沢空港振興会、日本航空が関わった。今回の復便を地域活性化の絶好のチャンスとすべく、連携してトライアルの期間で実績を示し、高い評価を得て枠の獲得を果たしてもらいたい。[br] 共同提案によると▽羽田からの乗り継ぎ展開による西日本との交流▽北海道・北東北の周遊観光の推進▽空、陸、海の交通網を組み合わせた「立体観光」を支える二次交通の充実―などを進める。中でも重要な鍵となりそうなのが二次交通。多数の人が空港と各地を行き来する移動手段を、さらに利便性の高いものにすべきだ。[br] 受け入れ態勢の拡充に向けては、複数の自治体や交通事業者の協力が欠かせない。地方の交通事情から、主な移動手段としては車が有力だが、金銭面・時間面での負担の少なさ、自由度の高さも求められる。現状のままでは、市町村の魅力を発信しても来訪者の多様なニーズに応えることは難しいだろう。[br] 新型コロナウイルス感染症が、増便が始まる頃の国内にどのような影響を及ぼしているのか、今は見通せない。だが、県南地方の空の玄関口がもたらす恩恵を、将来にわたって地域全体で享受するためにも、自治体など関係団体が力を合わせて増便を確かなものとしたい。