“究極の白いチョウ”求めて/七戸町立鷹山宇一記念美術館がウスバシロチョウを採集

集まった蝶の標本を掲げる對馬康夫さん=4月、七戸町
集まった蝶の標本を掲げる對馬康夫さん=4月、七戸町
透き通るような究極の白いチョウを求めて―。七戸町立鷹山宇一記念美術館は、昨年からウスバシロチョウの採集に取り組んでいる。北海道や本州、四国などに広く生息しており、原因は不明だが、同町で見つかる個体が“日本一白い”と言われている。チョウを数多.....
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 透き通るような究極の白いチョウを求めて―。七戸町立鷹山宇一記念美術館は、昨年からウスバシロチョウの採集に取り組んでいる。北海道や本州、四国などに広く生息しており、原因は不明だが、同町で見つかる個体が“日本一白い”と言われている。チョウを数多く描いた故鷹山宇一の生誕地で見られる神秘的な現象に、同美術館の関係者は「鷹山とチョウには不思議な縁がある。より白いチョウを採取して、鷹山と七戸を全国にアピールしていきたい」と意気込んでいる。[br] ウスバシロチョウは、アゲハチョウ科ウスバアゲハ亜科で、4~5月に羽化する。一般的に羽は白い一方、くっきりとした黒い翅脈(しみゃく)が特徴。さらに、鱗粉(りんぷん)も黒いため、白と黒のコントラストがはっきりとしている。[br] だが、同町周辺で見つかる個体は、翅脈、鱗粉共に白く、羽全体が透き通るように見えるのが特徴。同美術館でチョウに関するアドバイスをしている、日本鱗翅学会会員の對馬康夫さん(青森市在住)は「国内でも羽全体が白い個体が見つかるのは七戸ぐらいだ」と話す。[br] 同美術館が、白い個体の存在に気付いたのは2018年ごろ。チョウの標本などを収めた書籍に「七戸町で驚愕(きょうがく)の白い個体」と書かれた一文を見つけた。[br] 19年に本格的な採集に着手。町内31カ所から500頭以上を発見し、うち約170頭を採集した。[br] 同町は、ウスバシロチョウの食草となるムラサキケマンが多く自生しており、チョウの個体数も多い。その中で、對馬さんは「遺伝的に白くなる個体がいるようだ」と分析する。[br] 集まったチョウで、エリアごとに標本を作製すると、白い個体は、主に同町の坪川周辺に生息していることが判明。中には、書籍やネットなどで紹介されているような極めて白い個体もある。[br] チョウの作家として知られる故鷹山宇一の故郷で、見つかった“自然の神秘”。鷹山作品作中にも何度か登場しており、對馬さんは「いずれ究極に白いチョウを見つけて、七戸を代表するようなチョウとして全国に発信していきたい」と話している。集まった蝶の標本を掲げる對馬康夫さん=4月、七戸町