新型コロナウイルス感染症の影響を受け、収入が減少した世帯に融資する国の生活福祉資金貸付制度「緊急小口資金」特例貸付への申し込みが青森県内で相次いでいる。申請窓口を務める県社会福祉協議会によると、受け付けを開始した3月25日から5月1日までの約1カ月余の申請件数は496件、金額は計7912万円に達した。県内のある社協関係者は「予想以上に利用者が多く、今後も申し込みは増加するだろう」と指摘。新型ウイルスが市民生活に経済的な打撃を与えている現状が浮き彫りとなった。[br] 国は今年3月、低所得者世帯向けの貸付制度の対象について、新型ウイルスの影響による休業や失業で生活が困難となった世帯に拡大する特例措置を設けた。従来と同様に保証人は必要なく、無利子で最大20万円まで借りることができる。返済は2年以内。[br] 県社協によると、申請は受け付け直後から増え続け、4月第4週(20~24日)は5日間で149件、2283万円に上った。従来の申請件数は1年間で30件程度だったが、特例措置後は大幅に増加。当面の生活費に苦慮する世帯の多さがうかがえる。[br] 申請窓口の各社協では職員が申請者への対応に追われている。八戸市社協は市生活自立相談支援センターの職員と合わせ、8人態勢で臨む。新型ウイルスの感染防止のため、4月30日からは郵送でも申し込みを受け付けている。[br] 大型連休明けの7日午前、青森市社協には次々と申請者が訪問。4月中旬から店舗の休業を強いられているという同市で飲食店を経営する男性(43)は「生活費のことで悩んでいたところ、この貸付制度を知った。売り上げが全くない状態が続いていたので非常に助かる」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。[br] 県社協の高橋金一事務局長は「新型ウイルスの影響が長く続くほど市民の生活は厳しくなる。金額は少ないが、力になれるよう対応していきたい」と話している。[br] 特例貸付の問い合わせは、居住する市町村の社協や労働金庫の支店で受け付けている。申し込みの期限は7月末まで。