コロナ禍にあえぐ青森県南地方の銭湯/営業時間短縮も、対策徹底し“生活の一部”守る

次亜塩素酸水を使用し、念入りに清掃を行う従業員=4月末、八戸市沢里の「長寿の湯」 
次亜塩素酸水を使用し、念入りに清掃を行う従業員=4月末、八戸市沢里の「長寿の湯」 
新型コロナウイルス感染拡大の影響は、青森県南地方の銭湯にも波及している。八戸市内では約30軒が住民の憩いの場となっているが、外出自粛のあおりを受けて利用者が激減。そんな中でも、銭湯を必要不可欠な“生活の一部”としている常連も少なくなく、店主.....
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 新型コロナウイルス感染拡大の影響は、青森県南地方の銭湯にも波及している。八戸市内では約30軒が住民の憩いの場となっているが、外出自粛のあおりを受けて利用者が激減。そんな中でも、銭湯を必要不可欠な“生活の一部”としている常連も少なくなく、店主たちは営業時間を短縮するなどして収入減に対応しながら消毒や掃除などの対策を徹底し、湯を絶やさぬよう懸命にのれんを守り続けている。[br] 「おかげさまで多くの人に利用してもらっていたが、4月に入ってから、がくっと減った」。八戸市南類家3丁目の「るいけ源泉えんの湯」店主の大橋江利子さん(49)はこう嘆く。昨年11月に新装開店したばかりで、客足は好調だったが、「新しい感染者が出たり、有名人が亡くなったりという報道が出るたび、お客さんが来なくなる」と肩を落とす。[br] おいらせ町の「イオンモール下田」に隣接する「下田温泉ゆーらくえん」でも、イオンモール専門店街の臨時休館のあおりを受け、客足は半分ほどとなり、1日から営業時間を短縮した。同店の従業員は「家族連れがめっきり減った。元気な声が聞けなくてさみしいね」と声を落とす。[br] ただ、各店とも手をこまねいているわけではない。全国浴場組合などの指針に基づき、店側は次亜塩素酸水を使用した入浴券の消毒や、入り口や脱衣所のこまめな清掃を徹底するほか、来店者に対しては、入館時の手指のアルコール消毒や、店内での会話を控えめにすることなどを呼び掛ける。[br] 県立八戸高にほど近い、同市沢里の「長寿の湯」では、近所の常連の足も遠のき、赤字を自ら穴埋めせざるを得ない状況が続く。[br] 女性店主(84)は「50年以上やったから、もう閉めてしまおうかと思う時もある」と胸中を明かすが、9年前の東日本大震災の記憶が廃業を踏みとどまらせるという。「当時は各家庭で風呂のお湯を沸かしたくても沸かせなかった。こんな時だからこそ、何かあったときのために、お客さんが来る限りはお湯は絶やしたくない」次亜塩素酸水を使用し、念入りに清掃を行う従業員=4月末、八戸市沢里の「長寿の湯」