市内中心街、新規店舗も奮闘「コロナに負けない」/八戸

約4000枚のレコードが自慢の「レコード酒場イージー」店主の大道栄喜さん(右)と元太さん=14日、八戸市三日町 
約4000枚のレコードが自慢の「レコード酒場イージー」店主の大道栄喜さん(右)と元太さん=14日、八戸市三日町 
新型コロナウイルスの感染拡大で、閉塞(へいそく)感がただよう八戸市。北東北有数の歓楽街である中心街では、7日に青森県の休業要請が解かれたが、「3密」回避のため、依然として客足が遠のく日々が続く。そんな中でも新たな店舗も続々とオープンし、コロ.....
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 新型コロナウイルスの感染拡大で、閉塞(へいそく)感がただよう八戸市。北東北有数の歓楽街である中心街では、7日に青森県の休業要請が解かれたが、「3密」回避のため、依然として客足が遠のく日々が続く。そんな中でも新たな店舗も続々とオープンし、コロナ禍にめげず懸命に営業。各店は「固定客が付く前にこれじゃ…」「こんなことになるなんて」と弱音も吐くが、夢を詰め込んだ店舗を守り抜くことへの決意は固い。「やりたいことがたくさんある。終わらせるわけにはいかない」。その先にある“光”を信じて―。[br] 同市三日町にある光進ビルの地下で3月に開店した「レコード酒場イージー」。薄暗い店内には、レコード約4千枚が並ぶレトロな光景が広がるが、今は客足も途絶え、アナログの音色も少し寂しい。店主の大道栄喜さん(61)は「予想だにしなかった。辛抱するしかない」と自分に言い聞かせるように話した。[br] 20代は市内のレコード店に勤務。店舗が閉店する際、大量のレコードを譲り受けることに。自身でもさまざま買い集め、その枚数は1万枚を超えた。その後、会社員となって各地を転々としたが、心の中では「いつかこのレコードを武器にした店を持ちたい」という思いがふくらんでいた。[br] 会社を定年退職した後、息子の元太さん(38)と念願の“城”を手に入れた。ロックやジャズ、レゲエなどジャンルを問わずに流し、開店の記念イベントも開催。来店客がアルコールを楽しみながら音楽に耳を傾ける様子に手応えを感じた。ただ、コロナの恐怖は瞬く間に市内を包み込んだ。[br] 「これからという時だったのに」。客足は途絶え、収入も激減。予定にはなかったが、少しでも売り上げにつなげようと、レコードの販売に踏み切った。[br] 厳しい船出となった。しかし、希望は捨てない。「音楽は世代関係なく結び付ける。そんな場所になるまでやめるわけにはいかないよ」[br] 4月15日に同市番町にオープンした「ビストロ knot(ノット)」。これまでは別の場所に店舗を持っていたが、無農薬のブドウや天然酵母で製造された自然派ワインに合う食事の提供に力を入れるため、店名も変え、新たな道へかじを切った。店主の石橋圭太さん(33)は「こんな時期だが、不思議と悲観的にはなっていない」と力強い。[br] 市内の高校を卒業後、都内のカフェで修行に励んだ。妻の麻梨子さん(30)と地元に戻り、2016年10月にビストロ「ラポートキッチン」を開店した。[br] 当初は洋食中心だったが、市内の同業者との出会いで自然派ワインに魅せられた。食事との相性をより考えるようになり、店舗のイメージチェンジを決めた。[br] 2月中旬に店舗を閉め、新店舗の準備に取り掛かる中、ウイルスの影響が全国的に拡大。青森県内でも続々と感染者が確認されたが、両親含め家族総出で黙々と作業を進めた。[br] 晴れて門出を迎えたが、現在は昼はテークアウト中心の営業で、夜も営業時間の短縮を強いられる。ただ、オープンまでの間に、ほかの飲食店が行った弁当販売に参加させてもらうなど、「結び目」を意味する店名のように、仲間との絆が「店を守り抜く」という気持ちを高めている。[br] 「すべてをポジティブに考えていく。やることをやるだけだ」。その表情に迷いは見えなかった。約4000枚のレコードが自慢の「レコード酒場イージー」店主の大道栄喜さん(右)と元太さん=14日、八戸市三日町