【新型コロナ】館鼻朝市(八戸)苦しい春 開催見通し立たず、大幅収入減

開催が見通せない八戸市の館鼻岸壁朝市。出店者のほとんどが大幅な収入減を免れない状況になっている=昨年3月、同市
開催が見通せない八戸市の館鼻岸壁朝市。出店者のほとんどが大幅な収入減を免れない状況になっている=昨年3月、同市
新型コロナウイルス感染拡大の影響でイベントの中止が各地で相次ぐ中、日本一の規模を誇る八戸市の館鼻岸壁朝市も、今年の開催が暗礁に乗り上げている。市内外から多くの人が集まる週に一度の地元観光の目玉だが、開催の見通しが立たず、出店者の大半は大幅な.....
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 新型コロナウイルス感染拡大の影響でイベントの中止が各地で相次ぐ中、日本一の規模を誇る八戸市の館鼻岸壁朝市も、今年の開催が暗礁に乗り上げている。市内外から多くの人が集まる週に一度の地元観光の目玉だが、開催の見通しが立たず、出店者の大半は大幅な収入減が免れない状況だ。中でも店舗を持たない出店者は朝市での収入が頼りで、開催の可否は死活問題。主催する「湊日曜朝市会」は開催の可能性を模索すると共に、市内スーパーの敷地内への出店などを通じて朝市出店者の収入確保に躍起となっている。[br] 朝市は当初、3月15日の開幕を予定していたが、状況を踏まえ実施を4月12日に延期。しかし、状況は好転せず、開催を取りやめた。例年はかき入れ時となる大型連休中の開催を目指したが、安全面を考慮して再び断念し、今年はまだ一度も開催できないでいる。[br] 出店者の多くは現状に理解を示しつつも、心境は複雑だ。[br] 人気の総菜店の男性店主は「市内にある店舗を訪れる人がいるが、全体としては8割減という印象で、利益はほとんどない」とぼやく。ほかの女性出店者は「朝市では毎年頼んでいたアルバイトスタッフも雇うのは無理だろう。開催できたとしても、資金が少なく、仕込みにも影響が出てしまう」と嘆く。[br] さらに深刻なのが、店舗を持たない出店者。「収入がなく、どうしようもない」と漏らすのは、八戸市内の30代女性出店者。「キッチンカーで調理しているが、今年は器具を一新。この費用の借金も返すことができない」とうつむく。予想だにしなかった苦しい“春”を迎えている。[br] 出店者の収入確保へ向け、湊日曜朝市会(慶長春樹理事長)は、スーパー「よこまち」の支援を受けて、よこまちストア一番町店の敷地で総菜店などの出店を随時実施。来店者たちも物珍しさから次々と足を運び、朝市ほどとはいかないが、注目を集めていた。[br] 青森市から参加している男性(55)は「体調を崩してしまい、元々あった店舗を畳んだばかり。朝市やイベントでの収入がすべてだったので、どうしようもない」と沈痛な面持ち。「久しぶりに出店ができてうれしかった。対面での販売はやっぱり楽しいね」と明るさを少し取り戻していた。[br] このほか、朝市会は自慢の豊富な魚介類や青果物などの販路開拓を模索しており、県外飲食店への提供を視野に交渉を進めている。[br] 慶長春樹理事長は今後、朝市のさらなるブランド化を目指すといい、「さらに朝市の楽しさを多くの人に発信したい」と決意。「出店者とともに何とか耐え、6月に開催できることを信じたい」と願いを込めた。開催が見通せない八戸市の館鼻岸壁朝市。出店者のほとんどが大幅な収入減を免れない状況になっている=昨年3月、同市