時評(4月28日)

新型コロナウイルス感染症対策などが争点となった衆院静岡4区補欠選挙は、公明党の支援を受けた自民党新人が立憲民主党など野党4党の統一候補らを破り、議席を守った。 緊急事態宣言が全国に拡大され、外出自粛が呼び掛けられる中、屋内での大規模集会や選.....
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 新型コロナウイルス感染症対策などが争点となった衆院静岡4区補欠選挙は、公明党の支援を受けた自民党新人が立憲民主党など野党4党の統一候補らを破り、議席を守った。[br] 緊急事態宣言が全国に拡大され、外出自粛が呼び掛けられる中、屋内での大規模集会や選挙運動での握手が控えられる異例の選挙となった。通常の補選なら東京から大挙して駆け付ける国会議員の応援もほとんどなく、インターネットや電話で支持を訴えざるを得ず、選挙戦は低調だった。[br] 静岡市選挙管理委員会などは公用車に投票箱を載せ巡回する「移動期日前投票所」を導入。投票率低下に歯止めをかけようとしたが、投票率は34・10%にとどまり、前回衆院選を19・62ポイントも下回る過去最低を記録した。[br] 自民党候補の得票は6万6000票余り。過去3回の選挙ではいずれも9万票以上獲得しており、今回も厚い保守地盤に支えられて勝利した印象が強い。これでは、安倍内閣の政治姿勢や経済対策が全面的に支持されたとはとても言えない。[br] 今後の注目される選挙に、6月の沖縄県議選、7月の東京都知事選が挙げられる。来秋までには衆院選も行われる。安倍晋三首相は「選挙は民主主義の根幹」と述べており、政府は緊急事態宣言中も期日通りに実施する方針だ。ただ非常に低い投票率が続けば、有権者の意向が反映されたとは言い難い選挙になる懸念がある。[br] 連立与党の公明党は、地方選を延期する特例法の制定を提起している。投開票所での密集回避を理由に挙げるが、集会自粛で支持母体の創価学会が活動しにくい事情も指摘される。地方選延期は阪神大震災と東日本大震災の際の2例あるだけで、自民党や野党の立憲民主党などからは否定的な意見が相次ぐ。[br] 一方、パソコンやスマートフォンによる「インターネット投票」に向けた環境整備は進んでいない。システム構築やコスト面など課題が多いためで、政府は国政選挙の在外投票で先行導入を検討中だ。重度障害者らに利用者を限定している郵便投票の対象拡大を含め、議論を深める必要があるのではないか。[br] 投票率が低いと、組織力が比較的強い自民党には有利と言われる。しかし、5月6日を期限とする緊急事態宣言が延長される可能性がある中、各種選挙での低投票率を放置し続けていいはずがない。一定程度の投票率を確保する方策について、与野党が党利党略を捨て知恵を絞るべきだろう。