青森県が新型コロナウイルス特別措置法に基づき、キャバレーなど遊興施設やパチンコ店、生活必需品以外の商業施設を経営する事業者に対し、休業を要請した。期間は29日から5月6日で、人の往来が活発化する大型連休に合わせた。全国的に感染拡大に歯止めがかからない現状で、人の接触機会を極力減らし、感染者の増加を防ぐ狙いがある。[br] 県は応じた中小事業者に対し、法人30万円、個人事業主20万円の協力金を支給。独自に支援策を講じる市町村もある。[br] だが、業績悪化に苦しむ多くの事業者にすれば、決して十分な金額ではないだろう。落ち込んだ経済の回復は、事業継続や雇用維持が大前提となる。行政には実態を踏まえた効果的な施策を躊躇(ちゅうちょ)なく打ち出すよう、重ねて求めたい。[br] 中小企業を対象とした県の調査(4月6~15日)よると、回答した353社のうち、「最近1カ月の売上高が前年同期比で減少した」とした企業は273社、77・3%に上った。3月の前回調査と比べ、18・4ポイント悪化している。「2割以上の減少」とした企業は138社、39・1%で、10ポイント拡大。コロナが事業者の経営に与える影響は日を追うごとに広がっている。[br] 宿泊施設に絞った調査(2~10日)では、56施設が回答。4月の宿泊予約状況は3万7777人、70・8%減と大幅に落ち込む見通しだ。[br] 緊急事態宣言の対象が全国に拡大した16日以降、大規模なイベントの中止や縮小、不要不急の外出を自粛する動きが加速した。特に飲食、宿泊、観光の分野は影響が大きく、休業や営業時間の短縮を余儀なくされた事業者も少なくない。[br] 新たなサービスに挑戦し、活路を見いだそうと知恵を絞る事業者もいる。だが、これまで通りに従業員の給料や店舗の家賃を支払い、売り上げの減少分を穴埋めするのは難しいだろう。[br] 青森県による休業要請の表明は、結果的に東北6県で最後発となった。県の担当者は「慎重な手続きを踏んだ結果」と説明するものの、感染拡大防止が急がれ、さらに事業者が悲鳴を上げ、40以上の都道府県が休業要請や協力金の支給を次々と判断する中、後塵(こうじん)を拝した感は否めない。[br] 熟慮して打ち出した対策は、十分に地域の実情を反映しているのか。これで終わりとせず、必要に応じて、よりスピード感のある決断を求めたい。県民の安心に寄り添いながら、迅速に対応してほしい。