新型コロナウイルス感染拡大の影響が、春の交通安全や火災予防運動にも波及している。青森県内各地では関連イベントが相次いで中止となり、啓発の機会が減少。一方で、外出自粛や小中学校の臨時休校などによって、住民の暮らしが変わったことへの対応も求められており、関係者が交通事故や火災への注意の呼び掛けに腐心する。[br] 八戸地区交通安全協会(速水悦子会長)は、春の交通安全運動期間(6~15日)に予定していた八戸市内7カ所での街頭活動や、3~4月に行うはずだった小中学校や高校などでの交通安全講話10件をいずれも取りやめた。[br] 注意喚起の機会を失ったことで、同地区安協と協力し啓発を行う八戸署(三橋一男署長)は、市民の交通安全意識の希薄化を懸念する。同署交通第一課は、同署で発行するチラシ「まもるくんnews」を管内の交番や駐在所へ配布。車のスピードを出し過ぎないことや、横断歩道での歩行者優先のルール順守を懸命にアピールする。[br] チラシの作成に当たった同課安全教育係の白濱里沙巡査(27)は「3月には死亡事故も発生している。ドライバーには歩行者第一で安全運転をしてほしい」と訴える。[br] 3月上旬から休校が続く市内の公立小中学校は5月の大型連休開けに授業を再開予定。小学校に入学したばかりの1年生が登校したのは、まだ数回ほどだ。[br] 同署交通官の浦田浩彰警視(55)は「広報は思うようにできなかったが、交通取り締まりは普段通り行っている。車の運転には十分気を付けてほしい」と子どもたちを事故から守るために協力を呼び掛ける。 八戸広域消防本部(田村勝則消防長)は、春の火災予防運動期間(13~19日)に予定していた管内のイベントを全て中止した。[br] 昨年発生した八戸圏域の火災は130件、死者が9人でいずれも前年より増加している。休校中の子どもばかりでなく、外出自粛によって自宅で過ごす時間が長くなっているのは大人も同様で、火災予防の重要性はますます高まっている。[br] 同本部予防課の佐藤和人副参事(47)は「例年行っている地震体験車やはしご車、消火器などの体験は子どもたちにも好評だっただけに、イベントができないのは心苦しい」と胸の内を明かした上で、「春は火災の多い季節。住宅での防火や、野焼きの見守りなど、火の取り扱いには十分に注意してほしい」と強調する。