天鐘(4月23日)

友人から聞いた話である。中学生のころ、進路指導の先生がいきなり生徒たちの前で言いだした。「校則なんて守らなくていい」。一瞬驚いたが、みんな大喜びである▼何が良くて、何が駄目か、大人なら分かるはず、と先生は期待した。だが、そこは10代半ばの子.....
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 友人から聞いた話である。中学生のころ、進路指導の先生がいきなり生徒たちの前で言いだした。「校則なんて守らなくていい」。一瞬驚いたが、みんな大喜びである▼何が良くて、何が駄目か、大人なら分かるはず、と先生は期待した。だが、そこは10代半ばの子供たち。不始末が続出して結局、校則は復活する。「こうなったのは自業自得。自分たちが招いた結果だ」と叱られたという▼緊急事態宣言が全国に拡大して初めての週末は「接触8割減」が注目された。大都市圏の駅などがほぼ“合格”だった一方、少し離れればそこから逃れてきたような人の波である。テレビに思わず「大丈夫か」とつぶやいた▼江ノ島へと向かう国道は大渋滞、千葉の海岸には若者が押しかけた。取材のカメラに若い女性は「ここに来ればコロナがうつると決まってるの?」。どうやら、やむなくの外出ではなさそうだ▼海外のロックダウン(都市封鎖)に対して、わが国の外出自粛はあくまでも「要請」。それには強制力も罰則もない。だからこそ、この危機を乗り越えられるか否かは、ひとえに一人一人の行動にかかる▼「少年よ大志を抱け」のクラーク博士も札幌農学校で校則を廃止したという。「ビー・ジェントルマン(紳士たれ)」で十分―と。見えないコロナに「自業自得」と言われてからではもう遅い。求められるのは紳士、淑女の振る舞いである。