自民党の河井案里参院議員陣営の公選法違反事件で、案里氏の公設秘書立道浩被告の公判が広島地裁で始まった。[br] 立道被告は昨年7月の参院選で、車上運動員に違法な報酬を支払ったとして買収の罪で起訴された。20日の初公判では起訴内容の認否を留保したが、広島地検は連座制の適用対象とみて、迅速に審理する「百日裁判」を申し立てており、案里氏の当選が無効になる可能性がある。[br] 案里氏の選挙運動を巡っては、夫の克行氏が主導し、広島県内の自治体首長や地元議員らに現金が渡された疑いも浮上。参院選前、自民党からは河井夫妻側に1億5千万円が提供されていた。巨額資金が買収を含む違法行為に使われていなかったかなど、公判と検察の捜査による事件の全容解明を求めたい。[br] 立道被告は参院選に立候補した案里氏の車上運動員14人に法定上限を超える計204万円の日当を渡したとされ、捜査段階で違法報酬への関与を認めたとみられる。[br] 公選法の連座制は、選挙運動の計画立案などの役割を担う者が悪質な選挙違反の罪で禁錮以上の刑が確定すると、連帯責任で議員の当選が無効になる仕組みだ。地検は立道被告が連座制対象の組織的選挙運動管理者とみて百日裁判を申し立て、夏までに判決言い渡しの見通しという。同時に起訴された克行氏の政策秘書高谷真介被告とともに陣営の指揮系統や集票活動の実態を明らかにしてほしい。[br] 一方、昨春以降に克行氏側から広島県内の首長や県議らに現金が配られた疑惑が発覚、地元政界を揺るがした。克行氏から現金を受領し辞職した町長もいる。地検は多数から任意聴取し、関係先を捜索した。克行氏を中心に買収工作が進められた可能性があり、現金の趣旨など徹底的な捜査を望む。[br] 秘書が訴追され、自身も検察の任意聴取を受けても河井夫妻は国民への説明を避けている。国会議員の資格を欠いており、辞職も考えるべきだ。[br] 昨夏の参院選で自民党は改選数2の広島選挙区に現職議員と案里氏の2人を公認、現職は落選し案里氏が初当選した。公示前、自民党が河井陣営に支出した1億5千万円は現職に渡した資金の10倍で、これが買収に回った疑いも指摘される。[br] 安倍晋三首相は破格の資金提供に関し「党本部に任せていた」とするが、党総裁としての説明責任や、参院選後に克行氏を法相に任命した首相としての責任をどう果たすのか示してもらいたい。