【新型コロナ】止まらぬ価格下落、和牛生産者悲鳴/青森県内

大幅な和牛価格の下落に頭を悩ませる小原暢人さん=8日、五戸町倉石又重 
大幅な和牛価格の下落に頭を悩ませる小原暢人さん=8日、五戸町倉石又重 
新型コロナウイルスの感染拡大による和牛の価格下落で、青森県内のブランド和牛生産者が大きな打撃を受けている。最大の消費地である首都圏に緊急事態宣言が出されたことで外食業界が冷え込み、訪日外国人も激減。高級食材は家庭消費につながらず、影響が長引.....
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 新型コロナウイルスの感染拡大による和牛の価格下落で、青森県内のブランド和牛生産者が大きな打撃を受けている。最大の消費地である首都圏に緊急事態宣言が出されたことで外食業界が冷え込み、訪日外国人も激減。高級食材は家庭消費につながらず、影響が長引くにつれ、生産者は体力を奪われている。関係者からは「出荷するほど赤字で、このままでブランドの維持さえ厳しい」と悲鳴が上がっている。[br] 「一体いつまで先の見えない状況が続くのか…」。今月初め、五戸町倉石の牛舎で、県を代表するブランド牛「あおもり倉石牛」を肥育する小原暢人さん(49)はため息をついた。[br] 新型ウイルスによる価格への影響は2月ごろから顕著に出始めた。東京食肉市場の3月の和牛枝肉1キロ当たりの平均価格(A4、去勢)は1857円で、前年同月(2476円)より25%低く、4月も下落傾向が続いている。現在は子牛価格も急落しているが、出荷適期の牛は価格が高止まりしていた時期に導入しているため、赤字額は1頭当たり30万~40万円にも上る。[br] 出荷をストップしようとも考えたが、適期を過ぎると牛に負担がかかり、肉質が下がるリスクがある。何より価格が戻る確証がないため、赤字を承知で出荷を続けているのが現状。国と生産者の積立金で赤字額を補てんする制度もあるが、大幅な損失を埋めるには及ばないという。[br] 小原さんは「先が見通せないという意味では、BSE(牛海綿状脳症)や東日本大震災を超える影響の大きさ。このままではつぶれる農家も出てくる。行政や関係機関で対策を打ってほしい」と訴える。[br] 「三戸・田子牛」約250頭を生産する、三戸畜産農協の立花康男総括部長も「全ての等級で価格が2~3割下がっており、深刻だ。田子は子牛から肥育まで一貫生産の農家が多いが、それでも影響は大きく、この状況が続けば組合としても動く必要があるだろう」と、今後、県や関係団体に要望する考えを示唆した。[br] 八戸農協では、畜産総合部会から飼料代の支払期限延期を求める要望書を受け、対応を検討している。営農部の北山秀一米穀畜産課長は「国による緊急経済対策が示されたが、明確でない部分も多く、『運転資金が続かない』という生産者を直接支援するものか疑問だ」と、現状に沿った支援を求めた。大幅な和牛価格の下落に頭を悩ませる小原暢人さん=8日、五戸町倉石又重