核燃税条例“納税力”の認識に差 市とRFS、減免折り合えるか 青森県との二重課税も焦点に/むつ市

条例受け入れを求めた宮下宗一郎市長(右から2人目)に対し、減免協議を申し入れた坂本隆社長(左から2人目)=3月30日、むつ市
条例受け入れを求めた宮下宗一郎市長(右から2人目)に対し、減免協議を申し入れた坂本隆社長(左から2人目)=3月30日、むつ市
むつ市が中間貯蔵施設の使用済み核燃料に法定外普通税を課す「使用済燃料税条例案」が3月下旬、市議会で可決、成立した。市は条例施行に必要な総務省との協議に移る予定だったが、納税者となるリサイクル燃料貯蔵(RFS)が減免措置の協議を申し入れたこと.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 むつ市が中間貯蔵施設の使用済み核燃料に法定外普通税を課す「使用済燃料税条例案」が3月下旬、市議会で可決、成立した。市は条例施行に必要な総務省との協議に移る予定だったが、納税者となるリサイクル燃料貯蔵(RFS)が減免措置の協議を申し入れたことにより保留に。市とRFSの話し合いは今後本格化するが、RFSの“納税力”などを巡って両者の認識に差があり、折り合いがつくかどうかは不透明だ。[br] 「どうか受け入れてほしい」。3月30日、宮下宗一郎市長はRFSを訪れ、坂本隆社長に条例成立を報告、納税に応じるよう迫った。一方、坂本社長は「条例がこのまま施行されることは問題。事業が立ちゆかなくなることを避けるためにも減免措置の協議をさせていただきたい」と要請した。[br] 関係者への取材によると、両者が今後、減免で合意できるかどうかは、大きく分けて二つの問題が焦点となりそうだ。[br] 一つはRFSの納税力に対する認識の差だ。RFSは基本的に原発の使用済み核燃料の保管が事業主体で、一般家庭などからの直接的な収入はない。自社事業の収支の範囲内で、税を負担できる能力を捉えている。[br] 一方、市は燃料を搬入する親会社の東京電力ホールディングスの経営力もRFSの納税力に折り込んでおり、この点で大きな隔たりがある。[br] もう一つが青森県が既に県内の原子力施設に核燃料物質等取扱税(核燃税)を課していることにより、県と市による“二重課税”が発生するかもしれないという問題だ。[br] RFSは「複数の自治体からの課税で、担税力(納税できる能力)を上回る事態になることは避けなければならない」と訴え、今後の動向を見極めたい意向を示す。[br] 対する市は、現時点で県が課税の意思を明らかにしていないことや、中間貯蔵施設を誘致したのが県ではなく市であることを強調し、「RFSが立地地域の市と、どう向き合うかが問われている」と、県の動きは市の課税とは関係ないとのスタンスだ。[br] 条例では「事業者の経営状況から見て過重な負担と認められる場合」について、税金を減免できる条項を設けている。市がRFSの減免申請を受け入れた場合は、税率を設定し直した条例を市議会に諮り、成立後に改めて総務省との協議に臨むことになる。[br] 宮下市長は、RFSが減免の協議を申し入れたことについて「RFSが立ちゆかなくなる税率で施行することは私も望んでいない」と述べており、歩み寄る姿勢も示している。[br] ただ、減免を要求する明確な根拠や理由を求めており、RFSが協議の場でしっかりと説明できるかが合意の鍵を握っている。条例受け入れを求めた宮下宗一郎市長(右から2人目)に対し、減免協議を申し入れた坂本隆社長(左から2人目)=3月30日、むつ市