時評(4月1日)

2020年度予算の成立で、通常国会は6月17日の会期末までの後半戦に入った。今後は新型コロナウイルス感染症対策への本格的な取り組みが急務で、東京など都市部で感染者が増える中、与野党が垣根を越えて英知を結集すべきだろう。 政府は経済の落ち込み.....
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 2020年度予算の成立で、通常国会は6月17日の会期末までの後半戦に入った。今後は新型コロナウイルス感染症対策への本格的な取り組みが急務で、東京など都市部で感染者が増える中、与野党が垣根を越えて英知を結集すべきだろう。[br] 政府は経済の落ち込みを抑えるため、4月初めに過去最大の緊急対策を取りまとめ、20年度補正予算案を閣議決定する方針だ。減収となる世帯などに対する現金給付が柱で、4月中の成立を目指す。与野党間ではこれまで連絡協議会を2回開催、野党側は医療従事者用の機器確保なども求めており、必要な施策について十分な擦り合わせを行うよう求めたい。[br] 新型コロナウイルス特措法に基づく政府対策本部が設置され、緊急事態宣言発令が現実的になった。ただ安倍晋三首相が2月末、法律に基づかず要請したイベント自粛や全国一斉休校で、現場に混乱や不安をもたらしたのを忘れてはならない。[br] 政府は緊急事態を宣言する際、専門家の見解を聴く方針だが、私権制限につながるだけに、国会論議で、できるだけ客観的基準を示し曖昧さを取り除くべきだ。[br] 1年延期された東京五輪・パラリンピックを巡っては、世界各国と協調しつつ新型コロナを終息させる政府の努力が最も肝要だが、延期に伴う費用負担問題など環境整備策も国会で取り上げてもらいたい。[br] 一方で、政治不信を助長しかねない課題もある。国家公務員の定年延長に合わせ、検察官の定年を63歳から65歳に引き上げる検察庁法改正案がそれだ。次長検事と検事長については63歳に達すれば役職を解かれるが、内閣が延長、再延長もできると規定する。政府は検察官の定年を延長できないとの法解釈を変更、黒川弘務東京高検検事長の定年延長を既に決定した。法案でも政権の人事介入で検察の独立性が侵される懸念があり、徹底論議が必要だ。[br] 森友学園を巡る公文書改ざん問題では、自殺した財務省近畿財務局職員の手記が公表されたが、首相は遺族の求める再調査を拒否している。首相主催の「桜を見る会」の疑惑には、首相の説明が「不十分」という世論の声が圧倒的に多い。[br] 安倍首相は3月28日の記者会見でコロナ対応に関し、国民に「長期戦覚悟」で「最大限の警戒」を呼び掛けた。ただ国民の全面的な理解と協力を得るには、政権への疑念を払拭ふっしょくしないと難しいのではないか。政府と与野党は心して今後の国会審議に臨むべきだろう。