【新型コロナ】ナガイモ収穫ピンチ 外国人実習生、入国できず

中国人技能実習生の来日見送りに苦悩する甲地武彦さん。収穫を無事に終えられるか不安が続く=23日、東北町
中国人技能実習生の来日見送りに苦悩する甲地武彦さん。収穫を無事に終えられるか不安が続く=23日、東北町
新型コロナウイルスの影響が、青森県南地方の野菜農家にも広がっている。今春、来日予定だった中国人技能実習生が感染拡大防止のために入国できず、受け入れ農家が働き手不足に苦しむ。特に春掘りの作業時期を迎えたナガイモは、収穫のペースが落ち、まとまっ.....
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 新型コロナウイルスの影響が、青森県南地方の野菜農家にも広がっている。今春、来日予定だった中国人技能実習生が感染拡大防止のために入国できず、受け入れ農家が働き手不足に苦しむ。特に春掘りの作業時期を迎えたナガイモは、収穫のペースが落ち、まとまった数量を出荷できない可能性が高い。昨年から続く、野菜の価格安との“ダブルパンチ”に、生産者は「大変な状況だ」と頭を抱える。[br] 少雪により、今年のナガイモの春掘りは平年より約1カ月早い3月上旬に始まった。20年近く前から中国人技能実習生を雇用している東北町の農家甲地武彦さん(64)は、作業が始まる前までに技能実習生2人を受け入れる予定だった。[br] 実習生が来られなくなったのは初めてで、「SARS(重症急性呼吸器症候群)のときでさえ、このような事態はなかった。日本人の若い働き手も見つからないので作業効率が落ちている」と肩を落とす。[br] 例年の春掘りでは1日当たり12トン程度を収穫するが、現在は1日7、8トン。ナガイモに付いた土を払い、ケースに入れるための作業員が少なく、作業ペースの低下が著しい。ナガイモ畑約3・5ヘクタールのうち、23日時点で収穫を終えたのは約0・3ヘクタールと1割程度。4月には新しい種イモの作付けを控えているが、作業が追い付かない。[br] ゆうき青森農協(本店・東北町)の「中国人実習生受入協議会」が、この時期に受け入れる予定だった約20人は全員、来日できていないという。協議会長でもある甲地さんは「安値で苦しみ、廃業を考えた農家もいる。こんなことが続いて起きるなんて」と嘆いた。[br] 感染症の影響で労働力を確保できない農業者向けに、行政側は支援策を練っている。政府の緊急対策を受け、青森県は農作業分野の求職者と求人側のマッチングを強化するため、2019、20年度補正予算で計1389万円を計上した。仕事が一時的になくなっている休職者らに農作業を紹介する相談窓口を設置する予定だ。[br] 県構造政策課の石澤雅史課長は「新型ウイルス終息の予測が立たず、影響がどこまで大きくなるか分からないが、農業は元々担い手が不足している。さらに被害が広がる前に対策を打ちたい」と話した。[br]中国人技能実習生の来日見送りに苦悩する甲地武彦さん。収穫を無事に終えられるか不安が続く=23日、東北町