時評(2月22日)

11月の米大統領選に向けた党候補指名争いがスタートし、選挙戦が本格化した。米政治は今後、選挙一色に染まる。 共和党は再選を目指すトランプ大統領の指名が確定的だが、野党民主党は混戦模様で、波乱含みの展開だ。 トランプ氏は民主党候補を軒並みこき.....
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 11月の米大統領選に向けた党候補指名争いがスタートし、選挙戦が本格化した。米政治は今後、選挙一色に染まる。[br] 共和党は再選を目指すトランプ大統領の指名が確定的だが、野党民主党は混戦模様で、波乱含みの展開だ。[br] トランプ氏は民主党候補を軒並みこき下ろすなど早くも中傷合戦の色彩が濃くなっているが、政治や社会の「分断と対立」が激化している中、候補者らは中身のある政策論議を尽くさなければならない。[br] 民主党の目標はトランプ氏の再選阻止のはずだ。だが、指名争いにしのぎを削る各候補は競争相手をいかにたたくかに専念し、現政権の政策追及はおろそかになりがち。分断の解消や国民皆保険、移民問題などでしっかりと議論を戦わせてほしい。[br] 民主党混戦の最大の理由は圧倒的な知名度を誇り、指名争いをリードするとみられていたバイデン前副大統領が緒戦の2州で惨敗、続くネバダ州党員集会を前に早くも崖っぷちに立たされていることだ。[br] バイデン氏に代わって左派のサンダース上院議員がトップを走るが、台風の目になりそうなのが地方都市の前市長ブティジェッジ氏と前ニューヨーク市長で大富豪のブルームバーグ氏。とりわけ10州以上の予備選が集中する3月初旬の「スーパーチューズデー」から参戦するブルームバーグ氏に注目が集まっている。[br] 他の候補者ではトランプ氏に勝てない、とする有権者がブルームバーグ氏支持に傾き、候補選びは夏の党大会までもつれ込むとの予測もある。[br] 民主党の候補を巡る争点の一つは年齢だ。サンダース、ブルームバーグ両氏78歳、バイデン氏77歳といずれも高齢。ブティジェッジ氏の38歳という若さが際立っている。[br] 米大統領選は単に国内問題ではない。自由と民主主義の旗頭として世界をけん引してきたのは米国で、その指導者の影響力は極めて大きい。選挙結果が重大な意味を持つ理由だ。[br] しかし、現状はどうだろう。「米国第一主義」を掲げるトランプ氏は米国が培ってきた自由主義の理念や人権、弱者への配慮といった伝統的な価値観を拒否している。[br] 同盟国を軽視し、温暖化防止のパリ協定やイラン核合意など国際的な枠組みから一方的に離脱するやりようは、世界に大きな混乱と失望を与えた。今回の選挙はそうした国際社会の失望を希望に変える機会でもある。選挙を通じて米国の良識が戻ることを望みたい。