天鐘(2月22日)

折り箱は厚い経木を曲げて作る。エゾマツやスギなどを用いるが、今は紙や発泡スチロールも多い。最もイメージしやすいのは駅弁だろう。22日は「折り箱の日」だという▼木材が持つ抗菌作用、湿度調整により中身が腐敗するのを防ぐ。起源は朝廷への貢ぎ物をの.....
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 折り箱は厚い経木を曲げて作る。エゾマツやスギなどを用いるが、今は紙や発泡スチロールも多い。最もイメージしやすいのは駅弁だろう。22日は「折り箱の日」だという▼木材が持つ抗菌作用、湿度調整により中身が腐敗するのを防ぐ。起源は朝廷への貢ぎ物をのせる台紙。遣隋使が中国の様式を持ち帰ったとされる。日本独自の容器として進化を遂げ、食文化を支えてきた▼遣隋使を派遣した聖徳太子に敬意を示し、業界団体が命日を記念日に定めた。忌日にちなむ“太子信仰”は他にもある。四天王寺や法隆寺を建立した建築の祖と崇(あが)め、大工や左官ら職人が結束を図るのは太子講である▼聖徳太子は初の女帝・推古天皇を摂政として支えた。冠位十二階を定め、十七条憲法を制定し、律令制度の礎を築いた。1930年に初登場してから“お札の顔”になること計7回。いずれも当時の最高額である▼功績は『日本書紀』などに伝わるが、実在しない虚像という説もある。後世の尊称である聖徳太子、本名の厩戸王(うまやどのおう)のどちらを使うのか、教科書での取り扱いも話題になった。偉人として誰もが知っているのに、謎は深い▼同時に10人の話を聞き分けた逸話には、多様な意見に耳を傾け正しい道を選択するとの解釈がある。十七条憲法第1条にある「和を以(も)って貴(よ)しとなす」の考えは現代社会にも通じる。脚色があったとしても、学ぶことは多い。