八戸工・高橋力投201球 「助けたい」ナイン一丸

【3位決定戦・八戸工―東義】22年ぶりの春の東北大会出場を決め、歓喜に沸く八戸工ナイン=六戸メイプル
延長十一回1死満塁、相手投手の2球目のスライダーが、榊拓実の右太もも付近を直撃した。厳しい顔つきになった榊とは対照的に、仲間は両手を挙げ、笑顔でベンチを飛び出してきた。八戸工が押し出しという思わぬ形で、22年ぶりの東北大会切符を手にした。 .....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 延長十一回1死満塁、相手投手の2球目のスライダーが、榊拓実の右太もも付近を直撃した。厳しい顔つきになった榊とは対照的に、仲間は両手を挙げ、笑顔でベンチを飛び出してきた。八戸工が押し出しという思わぬ形で、22年ぶりの東北大会切符を手にした。  「苦しい場面をよく耐えた。全員が最後まで集中力を切らさなかった」。上山正徳監督のこの言葉がすべてを物語っていた。先発マウンドの高橋智保は変化球でカウントを整え、「特に走っていた」という直球で押した。四回は2死二、三塁とされたが、後続を三振。六回にはタイムリー性の当たりを左翼の坂下光が本塁に好返球してアウトに仕留めるなど、バックも懸命にもり立てた。  高橋は疲れの見えた終盤につかまり、同点に追い付かれた。打線は三回の4点を最後に相手投手を攻めあぐねていたが、ナインは誰一人勝利を疑わなかった。  迎えた十一回。「もう腕の感覚がなかった」と高橋の疲労も限界に近づく中、先頭の池辺郷が中前打で出塁。「高橋を助けたい」と井河康浩が投手と一塁手の間に絶妙なバント安打を決めると、相手は満塁策に出た。最後は押し出しだったが、八戸工が一丸で1点を取りに行ったことが、サヨナラ勝ちを呼び込んだ。  11回201球を投げ抜いた高橋は「最後はもう気持ちだけだった」と、やり切った表情。東北大会に向けては「自分たちの実力がどこまで通じるか試したい」と目を輝かせていた。 [right]2013年 春季青森県大会 3位決定戦 八戸工 VS 東 義 [/right]